空海祈りの道「町石道」を行く

修行の場として開かれた高野山の根本大塔

ここ数年、恒例にしている各地のトレッキングルートの視察旅行。今年は空海が真言密教修行の場として開発した高野山に繋がる古の表参道「町石道(ちょういしみち)」。空海が開発に着手したのは816年とのこと。正真正銘の古道である。現在はハイキングコースとして整備されているが、出発地の九度山(くどやま)から高野山までは約23km。標高481mの慈尊院から849mの高野山大門までの高度差368m約7時間の散策である。九度山は真田一族が蟄居した地として大河ドラマブームで脚光を浴びたが、女人禁制の場に立ち入れない空海の母に会いに空海が月に9度ほど訪れたことに因んだ地名だそうだ。
コースは杉林(本州の多くはこれですが…)をメインとしてとても歩きやすく整備されている。1町(ちょう=109m)という昔の単位ごとに石町卒塔婆(いしちょうそとば)という2mほどもある大きな石標が建っている。これこそが町石道のいわれなのだが、卒塔婆という、それ自体が祈りの対象物なので、先人たちは180個あるこの町石ごとに手を合わせ、高野山を目指したのだそうだ。

高野山奥の院にはショウジョウバカマが咲いていました。

当日は、4月10日としては少し寒いが好天に恵まれ、トレッキング日和であった。眺めの良い展望台からはミカンの果樹園や散り始めた桜、鮮やかな桃の木、眼をおとせば、可憐なスミレやショジョウバカマなどが咲き始めていた。九度山で仕入れた柿の葉寿司と柿の乾燥チップを行動食に、快調なペースで高野山まで昇りきった。
歩くという行為には様々な意味や目的がともなうが町石道は紛れも無く祈りの道。真言密教の基本思想を表した曼荼羅図は、胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅の二つがあってそこに描かれている仏の数が180体と36体あり、この町石道の建立されている180個の町石はこの胎蔵曼荼羅そのものに対応しているため、道そのものが曼荼羅の世界なのだ。そんなこととはつゆ知らず。後から知るありがたい道のいわれ。不心得ものと怒る無かれ、空海曰く、「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く(原文は生生生生暗生始、)」無知の自覚から始まるのですね。

早春の湿原を下見ウォーク

シーズンインに備えて釧路湿原を下見散策。木道の補修も完了していてホッ。夏鳥初便はアオジ、オオジュリン、ノビタキ。カシラダカは旅の経由地で一休み。上空をみえばタンチョウが忙しげに飛び去り。越冬したクジャクチョウはフキノトウでランチタイム。うららかな遊歩道を早春の音色にうながされながら3時間ほどの散策でした。

北海道・釧路命名150年記念イベント続々in釧路

幕末の蝦夷地探検家・松浦武四郎スピリットを未来につなぐ行事をネットワークし、北海道・釧路命名150年の2018年を盛り上げていきましょう!絵本展は開催中。釧路市立博物館に是非ご来館ください。阿寒クラシックトレイルにも東京から2名参加の申し込み。

今年(2018)のチラシ完成!

ヒグマの痕跡

トドマツにしっかり残る立派な爪あと

北海道の自然ガイドにとって、常に念頭にあるのはヒグマの存在。厳冬期の冬眠時を除き、いつでもどこでも遭う可能性はゼロではない。特に世界最高密度を誇る知床や原生の森を持つ阿寒、そして釧路湿原の周辺部も生息域である。私は、直接お眼にかかったのは過去3度ほどだが痕跡は結構な頻度であう。ヒグマとの時差遭遇、痕跡をご紹介。
一般の方がヒグマと遭遇するのは春の山菜、秋のキノコの季節だが、自然散策をしていると春先の積雪期が明確な痕跡を確認しやすい。つまり冬眠明けの時期である。
この時期はスノーシューで普段歩かないところを散策するとそこかしこに足跡があって、その大きさにちょっとだじろぐ。

 

 

①は阿寒川流域4月上旬、スノーシューよりデカイのではと驚いた。地元の人の推測では最大クラス(4百キロ)のオスでは…!
②3月下旬に阿寒湖北側の森で出会ったこれもオスか?
③スノーシューとクマの平行歩行。残念ながらご一緒できませんでした。
④サイズを測ると…。
④雪原ではいろいろな動物の足跡が残っているが、クマは抜群の存在感。
⑤秋の阿寒川流域で泥水のなかにくっきり残った足跡。
⑥近くにあった糞。木の実を沢山食べたのが良くわかる。春先はフキだらけのもあって一点集中的な食生活。
⑦トドマツに残った爪あと、たいてい横にコクアか、山ブドウのツルがあってよじ登った跡。
⑧残念ながら処理された若いヒグマ。親離れしたばかりか、小さくて可哀想
実際に出会うのは若い独り立ちしたてのクマが多い。世間知らずで好奇心旺盛の性質とテリトリーを捜して右往左往だから人と出会う機会が多くなる。阿寒湖温泉周辺でも毎年、姿を確認されるのはだいたい同じで、ルートも推定されている。皆さんも気をつけて山歩きを楽しんでください。どうしても不安な方は、是非、ガイドをご用命ください。宣伝でした?!

③一緒に歩いています(Photo by Kato)

早春の水のカムイ圏トレッキング

眼下に広がるパンケトーと雄阿寒の雄姿

早春の水のカムイトレッキング。津別ノンノの森から阿寒・湖北の森までの約10km。オホーツクに注ぐ津別川流域から分水嶺を越え、太平洋に注ぐイベシベツ川流域をゆく水のカムイの道(ルゥ)。クマやリス、ウサギたちと仲間のスノーシューの足跡競演。まっこと見事なエゾマツやダケカンバの森を抜け、眼下に愛でるパンケトー、遠望すれば神々しく陽光に照らされる阿寒湖。お金はなくとも、自然堪能に関しては間違いなく富裕層な、わ・た・しの一日。

遠望する阿寒湖の眺めに一同感激
全行程約10kmのトレッキング

釧路湿原、阿寒・摩周の2つの国立公園をメインに、自然の恵が命にもたらす恩恵を体感し、自然環境における連鎖や共生の姿を動植物の営みをとおしてご案内します。また、アイヌや先人たちの知恵や暮らしに学びながら、私たちのライフスタイルや人生観、自然観を見つめ直す機会を提供することをガイド理念としています。