〈第七巻〉②ちょっとレアなカルデラ探訪

【第七巻】 摩周から屈斜路へ
神なる山は何処 ? 屈斜路カルデラを巡る

扉写真は藻琴山頂上から屈斜路湖と外輪山を望む。上の写真は登山道入り口です。初心者でも楽しめる低山です。

▶ちょっとレアなお勧めのカルデラ探訪コース
摩周湖から下ってアトサヌプリ(硫黄山)の山麓を周り、屈斜路湖岸に出る林道がある。この「池の湯林道」では、道路際にハイマツやエゾイソツツジ、ガンコウランなどの高山植物群を見ることができる。ボクは以前、北アルプス立山縦走の折り、ウラジロタデという高山植物を室堂から剣岳に向かう途中の高山帯で見たが、どういうわけかこの植物が弟子屈川湯の道路沿いに結構あるのだ。硫黄山山麓のエゾイソツツジの大群落は有名だが、平地でも高山植物を見ることができる北海道でも特異で貴重な自然環境である。

池の湯林道には高山植物が道路際にあります


▶池の湯林道の中間地点あたりにはキムントーという小さな沼がある。キムはアイヌ語で山という意味で、〈山の中の沼〉とでもいう意味になろうか。駐車して2百メートルほど歩くと静かなそしてちょっと不気味な沼に出る。幽玄で少しモノクロームな印象のある秘境である。北海道どこでもヒグマに会う可能性は無きにしもあらずだが、地元民によれば、ここはちょっと確率が高いそうだ。昨今、秘境の価値低下が著しいが手軽に行ける貴重な秘境だ。

キムントーのちょっと寂しい幽玄な風景


▶屈斜路湖周辺の国道や道道は舗装道路で快適なドライブができるが、林道はほとんどがオフロードである。車にもそれなりの心構えが必要である。屈斜路湖は周囲57㎞の湖であるが、北側のおおよそ半分は一般的にはあまり通る事のない、地元民のそれもアウトドア志向の方が訪れる林道である。湖岸沿いにほぼ半周、片側に湖を眺めながらオフロードドライブを満喫できる。クロスバイクやマウンテンバイクなどのサイクリングコースとしても面白いと思う。
トレッキングを楽しむならやはり藻琴山登山がお勧めではあるが、静かな湖岸を散策するのも魅力的である。特に和琴半島を周るトレッキングコースは平坦で原生の森や露天風呂などがあり魅力的なコースだ。

池の湯の露天風呂。ちょっと温めだけど温泉を楽しめます。


▶露天風呂は和琴半島のほか、砂湯、池の湯、屈斜路アイヌコタンにあり、今も愛好家や観光客が楽しんでいる。池の湯と屈斜路コタンには武四郎の歌碑が有志により建立されている。池の湯の歌碑は露天風呂から湖岸沿いに右手約50mほどのところにあるがわかりづらい。
歌碑には―
「久寿乃湖 岸のいで湯や あつからん 
 水乞鳥の 水こふてなく」
―とあるが、これも読みづらい。いやほとんど読めない。水乞鳥はアカショウビンではないかと言われているが、カワセミの仲間のアカショウビンはその名のとおり全身ほぼ朱色の野鳥ファンにとっては憧れの鳥ではあるが、今日、道東では見ることはない。道央では観察例があるし、ボクも白老のポロト湖畔で観察できた。昔は道東でもいたのかもしれないが…。
しかしこの歌は、露天風呂の情景を醸し出し、趣のある歌ではある。ちなみにボクの解釈では、水乞鳥というのはハクチョウが相応しいのではないかと思っている。

池の湯の武四郎歌碑。探すのが少し大変です


▶屈斜路湖は冬、凍結し、雄大な御神渡りができる。1月中旬から2月上旬が狙い目。
湖岸の温泉が湧き出ている露天風呂の周辺は、凍結しないのでハクチョウの群れが冬を越す。以前、香港の旅行雑誌関係者を案内して、真冬にここで女性記者がサッと服を脱ぎ、露天風呂に入り、ハクチョウと一緒のところを撮影した。その記者根性に圧倒された。ハクチョウと混浴できる稀な露天風呂だ。冬のバードウォッチングツアーでは屈斜路湖は外せないスポットである。

摩周岳から3つのカルデラを展望する

▶5月26日、弟子屈を後にして武四郎一行は陸路で標茶に向かった。そこには弟子屈に運ばれているはずだった食糧が届いていた。
ここから釧路川を丸木舟と陸路の二手に分かれて一行は釧路を目指すのだった。(続く)