「旅のレシピ」カテゴリーアーカイブ

バードウォッチングの聖地巡りバスツアー

根室バードウォッチング日帰りバスツアー
オオワシ↑オジロワシ
早朝の音羽橋

今冬(来年)は釧路観光コンベンション協会と根室観光協会が連携して、こんな素敵な日帰りバスツアーが行われます。「釧路・根室バードウォッチングの聖地を巡るバスツアー」の紹介情報です。
鳥のメインは冬鳥といわれるシベリアからやってくる北の旅人(旅鳥か?)たちです。オオワシ、オジロワシ、オオハクチョウはじめ、シロカモメ、ワシカモメ、コオリガモ、クロガモ、シノリガモなどの海鳥たち。そしてシマエナガ、ハシブトガラ、カケス、アカゲラなどの常連さんも楽しめます。もちろんタンチョウも翌日の釧路では、音羽橋での川に約3百羽ほどのタンチョウが羽を休ませている絶景や阿寒国際ツルセンターで給餌時間に飛翔してやってくる優雅な姿を堪能できます。
根室では何箇所かハイド(Hide :観察小屋)に行きます。納沙布岬のそれは我が国の最東端の工作物です。鳥だけでなくアザラシなんかも登場。温根元のそれは、日本百名城になっている「オンネモトチャシ」の隣です。ここからは鳥だけでなく国後島のロシア正教会なんかも見えます。何んともいえない風景です。


通常、釧路からの汽車往復+納沙布までのバス往復に昼食1500円を加えると9400円かかります。これがガイド付きで参加料が12000円!何故安いか、モニターツアーだからです。ちょっとアンケートを求められますが、1日で根室まで行って、野鳥観察のみならず日本百名城や納沙布岬なども回れるなんて…。
さらに、翌日の釧路タンチョウ編もあわせると通常12000円+5000円が14000円になる。計算ミスではありません。3000円デスカウントです。私もガイドでお手伝いします。皆で行きましょう!根室へ!!よかったら翌日の釧路も!!!

【主催】釧路観光コンベンション協会 【協力】根室観光協会
【開催日時】2020年 2月8日(土)根室編:1日バスツアー
2月9日(日)釧路編:午前中バスツアー
2月15日(土)根室編:1日バスツアー
2月16日(日)釧路編:午前中バスツアー
2月22日(土)根室編:1日バスツアー
2月23日(日)釧路編:午前中バスツアー
【詳細情報/参加申し込み】はこちら

コクガンとアッケシソウに会えた秋の野付半島

かつてのトドワラの風景はありませんが、やはり不思議な魅力の景観です

野付半島は東北海道に位置し、根室海峡に突き出た釣り針のような形をした砂嘴です。野鳥や野草の楽園とも言える処で、最近は冬場の水平線で写真を撮るイベントがヒットしているようで、新たな観光の魅力も発掘されています。
10月27日に「オンネニクルの森を歩こう」というイベント(主催 別海町郷土資料館)に友人からお声かけをいただき、普段歩けない処に入れるとのことで参加してきました。
イベントはアイヌや擦文期などの先人たちの遺跡を見たり、海岸線や森のなかを歩きながら野鳥や景観を楽しむものでしたが、あらためて野付の魅力にふれる1日でした。ガイドを辞めたら1シーズンくらい、空き家を借りて野付に住みたいとおもいました。

オジロワシがお出迎え
足元にはアマモとミズナラの落ち葉


野鳥はガンカモの渡りの時期で、お目当てのコクガン達にも出会えました。カムチャッカ半島を経由してやってくるのですが繁殖地は北極海沿岸なので相当な長旅です。渡りの道程はGPSによる調査がおこなわれているようで、いずれはっきりする時がくるのかもしれませんが、まだ謎の多い鳥です。英名のBrent Gooseのブレンドはネスカフェ・マイルドブレンドのブレンドなので何かと混じっているんでしょうか? 首筋のレース模様がなんともいえなえず、この鳥のエレガントさを表しています。今回、海岸線を散策しているとアマモ(ほとんどの淡水系の水鳥にとっての食糧)がわんさか打ち上げられていました。ガンカモを見ると海岸線から近い順に、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、コクガン、オオハクチョウと沖に向かって配置されています。つまり、首の短い順ですね。砂地に根を張り、光合成して生長するアマモの生育にとって野付の内海は最適の環境なのでしょう。
半島の基部から先端に向かって車を走らせていくと、右手(湾内側)に淡水のガンカモたち、左手(海側)に海鳥やカモメたちが飛び交い、前を見るのを忘れます。ガン・カモより早い時期に渡るシギ・チドリたちは春はGW、秋は8月中旬頃がベストシーズンだそうです。

首筋の白いレース模様がコクガンのチャームポイント
手前岸側から順に首の短い鳥が配置されてます


この時期、野草はまったく期待していなかったのですが、なんと!アッケシソウが迎えてくれました。その名のとおり厚岸のカキ島で発見命名されたのですが、現在は能取湖の群生が有名になりました。これは増殖事業をしているためで、自然環境の状態で見れるのは野付半島です、とガイドさんが言ってました。紅色に紅葉する部位が何なのか、知らないもの同士で、やれ花、いや茎、葉っぱじゃないのと盛り上がっていましたが、正解は茎及び枝の部分だそうです。標高0m前後(つまり海岸ぎりぎり)の塩湿地に繁茂する1年草とのこと。何かしら親近感のわくアッケシソウでした。

これがアッケシソウ!食べることも出来るんだそうです
手前はアマモ。甘い藻が由来のようで茎が甘いとのこと。食べてみましたが微妙。


野鳥野草ファンの方は先刻ご承知かもしれませんが、駆け出しファンの方やバードウォッチングやってみようかなぁ、と思っている方は是非、野付半島をお忘れなく。

ここはまさしくラムサールサイトの代表選手

北北西に進路をとって。

大日岳からの絶景。手前、奥大日岳。中央、剣岳。左奥、白馬岳連峰。

毎年恒例の山岳研修報告です。
体力の限界も近づきつつある(既に過ぎているのだけど)ここ数年は日本の有数の山岳路踏破を目指してきました。
それも終盤に近づき、難関の南アルプス縦走を計画しました。予備日、下山後の観光視察も入れて7泊8日の壮大な計画。出発が近づきつつあるなか、どうやら台風15号の動きが怪しく、このままだと南アルプス直撃!
今回予定の荒川三山、赤石岳山脈縦走3泊4日は奥深く、入山までまる1日かかるほど。もしも、台風でアクセス道路が寸断されたら大変。まかり間違えば、ずっと帰ってこられなくなるのでは、との妄想も駆け巡り、東京に到着して急遽、目的地を台風の影響の少ない北北西に進路変更した。目的地を決めたのも東京着後だったので、登山仲間から地図をスマホで送ってもらい、同じくスマホで直前台風予報をチェックしながらの決定。
スマホと新幹線、これがドタキャン変更登山を実現させた原動力。台風には勝てないが、うまく使えば文明の力は凄いもんだ。年寄り頭には相当疲れる所業だったが、これもいずれはAIがサポートしてくれそう。
変更先は日本有数の山岳リゾート立山。早朝の新幹線に乗って富山まで約2時間、富山電鉄に乗換え立山駅からバスで登山口の称名滝についたのはほぼ正午。日本一の落差を誇る滝を愛で、期待はずれの山菜蕎麦をかき込んで、いざ、目指すは大日岳・奥大日岳の2泊3日縦走。

日本最高落差(350m)を誇る称名滝

ここまでは超順調に文明の力を実感したが、これからが大変だった。
台風の影響か、とにかく暑い。もう秋の気配の釧路からいきなり35℃の世界へ。そして標高差1000mくらいを登らなければならない現実。南斜面で陽はカンカン。給水とリンゴやゼリー飲料が五臓六腑に染み渡る感じ。やっとのおもいで夕暮れ時に大日平に到着。ここは立山弥陀ケ原湿原という我が国で一番高いところにあるラムサール登録湿地でもある(現地の説明版で初めて知ったんだけど…)。初日の泊まりの山小屋にやっと到着したら、山小屋の主人が「塩さ~ん、お風呂沸いてますのでどうぞ~~」。ちょっと耳を疑ったが、確かに本州の山小屋ではお風呂や場所によっては温泉を使える山小屋もあるが、この時はまさかの坂。こんな山奥でお風呂に入れて、入口で確認したアサヒドライビール350ml700円もいただけるなんて。
風呂上り、夕日の山々を眺めながら冷えたビールで安着祝い。お客も私たちをいれて5名。何んとも言えない幸福感が全身を包んだ。

日本有数の山岳リゾート立山へは立山駅からは専用バスだけが走る専用道
山小屋での風呂上りのビール。言うことなし!


 さて、2日目も快晴。前日の疲労回復と今日のパワーアップのため秘薬アミノバイタル3500mmgを飲んで出発。目指す大日岳は標高2501mなので、今日も標高差1000mを一歩一歩。私の経験では、アミノバイタルは約2時間が効力維持時間。快調な前半は早朝でまだ陽も当たらず、気温もそれほどでもなかったが山頂に近づく頃から前日並みの暑さ(高度は上がっているから気温は昨日より低いはずだが…)。おまけにアミノバイタルも切れてきて、赤ランプ点滅状態で大日岳頂上。ここからさらに稜線づたいにアップダウンを繰り返し奥大日岳をめざす。「奥」とつくからには奥なんである。遠いのであ~る。
陽はカンカンと照らし続け、山小屋で買った400円のジュースもアッというまに飲んでしまい、限界が近づきつつある。
こういう状況だと夫婦喧嘩が勃発しやすい。案の定、今日の宿泊山小屋を確保していないので、早めに電話したらいい、とか、電話がつながらない、とか、なんでこんな山の上なのに電話がつながらないんだ、とか…。水を絞りきったボロボロ雑巾みたいになって、夕刻、やっとみくりが池温泉小屋に到着。温泉に浸かって、評判の食事をいただき、急転直下・大日岳縦走登山は無事終了。

弥陀ケ原湿原の地沼を抜けて登坂路へ
山頂は今年一番と言う快晴

人生でこれほど汗をかいたことはなかった、とおもわせるほどの発汗と今年一番という快晴のなかの山行であった。
教訓。これからの気象変動の激しい昨今、スムーズに旅行をするには、的確な情報収集と迅速な旅程変更、さらには事前の変更プランも念頭においた計画作りが重要になる。本番の登山も楽しかったが、前後の旅程調整にも感慨深い研修登山であった。

下山時にであったライチョウ一家
踏破ルートを振り返る
みくりが池に映る立山連峰の雄姿

極上の別寒辺牛川カヌーを堪能

静かな川面を約2時間のリバーツアー

静謐な川面に響き渡る野鳥のさえずり。珍客に驚き慌てる水鳥たちの振る舞い。熱いコーヒーと地元スイーツ、そしてガイドの奏でるギターの調べ。花咲線の橋脚ではアカハラの産卵という野生のドラマ。極上の別寒辺牛カヌーを堪能。

凸凹海外研修報告その3(ローマ編)紀元前の道を歩く

我が舎の研修の一貫したテーマがトレッキングである。登山であれ、ハイキングであれ、街なか散歩であれ、著名無名を問わず魅力的なトレッキングを体感し、その魅力をどこかで活かすことがテーマになっている。今回は、長年の夢の一つ、ローマ旧アッピア街道のトレッキングである。最初の造成が紀元前312年といわれ、「すべての道はローマに通ず」の格言をまさしく形にしたものである。”女王の道”とも呼ばれ、現在も現役の道路であるが、随所に古代の遺跡(墓地、祠、標識柱など)が点在し、糸杉と唐笠松の並木の中、一部は静かな散策路、一部は今も激しく車が行き来する生活道路となっている。
我々は古の佇まいがある静かな散策路を約5kmほど歩き、カタコンベという古代からの共同墓地遺跡(洞窟内に3層にわたる遺跡跡を見ることができる)を見学した半日であった。

静かで周りの自然と野鳥のさえずりを味わいながら古代におもいをはせる

■どんな道かといえば…
イタリアは南北に細長く、火山があって、温泉があって、家族主義で、かつて独裁国家同士同盟をむすんだこともある同類項の多い国である。アッピア街道は火山岩(玄武岩)を敷き詰めており、もっとも古い部分はごつごつした大き目の石が、時代が近づけば定型の石畳になっている。ローマ旧市街地はこの石畳が太宗で歩くには疲れるし、車に乗っても乗り心地悪いこと夥しい。
さて、アッピア街道は観光地であるが、このアッピア街道を歩こうという人はあまり多いわけではない。個人旅行者(我々もそうだが)は公共交通(地下鉄、バス)を乗り継いで約2時間(待ち時間も入れて)ほどで、歩くポイントに到着、ほぼ直線路なので行って戻る感じのトレッキングとなる。この道を堪能するにはローマや世界の歴史と春採湖一周くらいの体力を身につけていれば楽しめるのだが、特に前者の教養の深浅が極めて重要。ガイド付きツアーだと申し分ないかもしれない。(私たちはカタコンベガイド以外は単独行でした)

バス停前の屋台と後はチルコ・マッシモという古代競技場跡、いつでもどこでも歴史が偲ばれるのがローマ
不安げな観光客。左の黄色い機械は切符をチェックするもの。これをしないと検札員が乗り込んできたとき罰金!
公共バスの路線になっているアッピア街道
マクセンティウスの競技場跡
こんな道で雨も降ることを想定すれば、防水のトレッキングシューズがおすすめ
若者たちと一緒にスタートしたんだけど彼らとはどこかの遺跡でお別れ
チェッチリア・メッテラの墓。沿道にある大きな遺跡のひとつ

■楽しみ方あれこれ
ガイドツアーでも、歩いている最中に出会ったのが、ホーストレッキングと自転車ツアー。石畳の特に古代部分は不整陸路なので自転車は大変だろうとおもい聞いてみると、マウンテンバイクで電動サポートつきであった。確かにこれでないと尻が大変。馬は手綱引きのツアーなので乗馬の魅力ではなく、気分を楽しむ感じと見受けられた。こういう歴史道路は楽しむ教養を自前で身につけるか、ガイドから得るか、いずれにせよ旅の前後の予習復習がたくさんある。これも含めて「旅」なのだが、あの足裏の古代の感触は忘れられない旅の記憶として身体に残るものとなった。

馬もごつごつ道で大変だ
アッピア街道の自転車ツアー、マウンテンバイク電動つきでガイドは歴史解説
左は何者かの墓石か?調査中
アッピア街道沿いのサンセバスチャーノのカタコンベ(共同墓地)
アッピア街道の帰りは雨。バス停で待つ観光客。45分も待った!