「映画・本・JAZZ・登山」カテゴリーアーカイブ

凸凹旅行舎ガイド研修記① 究極の川の道「下の廊下」にシビレた~!

岸壁中腹に登山道(作業道)が削り造られた
岸壁中腹に登山道(作業道)が削り造られた

恒例のガイド研修、今年は5年越しの念願、黒部峡谷「下の廊下」を歩きました。戦時の電力開発を支えた作業道は断崖絶壁沿いに削りつくられた道。人と自然の格闘の現場であり、ここの開発では3百人におよぶ作業員が命を落としている(吉村昭『高熱隋道』を読まれたし)。2日間で約27kmを約16時間かけて、いつでも足を踏みはずせば百メートルほどの川底に滑落する恐怖と過ごした。肉体と神経が疲労する。いろいろおもうところがあるが、消化するには少し時間がかかる。想像を超える現場というのはまだ沢山あるんですね。

有名な黒部ダムを下から見上げる、これから下流に歩き出す
有名な黒部ダムを下から見上げる、これから下流に歩き出す
黒部湖から黒部川沿いに発電所が昭和10年代に建設された
黒部湖から黒部川沿いに発電所が昭和10年代に建設された
この高度感は写真でつたえきれない
この高度感は写真でつたえきれない
初日は好天に恵まれたが深い谷は日陰が多い
初日は好天に恵まれたが深い谷は日陰が多い
木道と左手の鉄線をたよりに進む
木道と左手の鉄線をたよりに進む
幅40cmほどの吊橋を渡り終えホッ。
幅40cmほどの吊橋を渡り終えホッ。
滝で一休み、降雨も心をなごませる
滝で一休み、降雨も心をなごませる
S字峡とよばれるとおり激流が岩を削っている
S字峡とよばれるとおり激流が岩を削っている
人間が高熱下で隧道掘削をした現場
人間が高熱下で隧道掘削をした現場
「水平歩道」とよばれるが、名前ほどやさしくはない
「水平歩道」とよばれるが、名前ほどやさしくはない
右手のえぐれたところを歩く、下は絶壁!
右手のえぐれたところを歩く、下は絶壁!

旅の予習、旅の復習。

 

図書館の蔵書は少し古過ぎて…
図書館の蔵書は少し古過ぎて…

今年のわが舎の研修旅行は黒部峡谷の水平歩道トレッキング。戦後、日本の電力開発を切り開いた人々の自然との壮絶な格闘の現場である。吉村昭著『高熱隧道』には、その修羅場が見事に活写されている。旅の予習である。
図書館で再読のため『高熱隧道』をさがしていたら、同著者の『ふぉん・しいぽるとの娘』を見つけた。シーボルトは江戸時代、日本の動植物や民俗性を欧州に伝えたドイツ人。今年、没後150年を記念して、ミュンヘンのシーボルトのコレクションが採集元の日本に里帰りする展覧会が東京でおこなわれている。研修旅行に展覧会鑑賞も追加した。シーボルトが紹介した日本の動植物の学名にはシーボルトの名前が付けられているものが多い。先日、バードウォッチャーのお客様を白糠刺牛の海岸にご案内した。ここはアオバトの繁殖地で多くのアオバトが岩礁に海水を飲みにやってくる。この珍しい習性をもつ日本周辺にしか生息しない野鳥の学名Treron sieboldiiにも同氏の名前が記されている。ひょんな巡り会わせから、旅の予習と復習の楽しみがうまれる。

全国各地で来年まで巡回展が予定されています
全国各地で来年まで巡回展が予定されています
白糠には5月に来て、10月には去っていくとのこと
白糠には5月に来て、10月には去っていくとのこと

我が心の山・斜里岳

モノクロ写真を複写。以久科の実家からいつも見ていた斜里岳
モノクロ写真を複写。以久科の実家からいつも見ていた斜里岳
何かのコンテストで賞をとったなぁ
何かのコンテストで賞をとったなぁ
馬や牛が沢山いて、人間も沢山いて、楽しかった~
馬や牛が沢山いて、人間も沢山いて、楽しかった~

BSフジの「絶景日本百名山」で斜里岳が紹介されていた。案内ガイドが阿寒湖温泉の仲間のガイドさんだったので本筋の興味でない方に集中力が拡散。さて、斜里岳は「我が心の山」といってもいいほど所縁のある山。両親の実家が斜里と清里だったので、幼少から中学生まで私の少年時代の夏休み、冬休みはいつも斜里岳の麓でいとこ達と過ごした楽しい思い出がよみがえる。母方の実家は、以久科(いくしな)という処で、もっとも斜里岳が均整のとれた姿を見せる場所だ。実家は農業で入植したが、家畜商も営み、軽種馬やばんばの馬の生産もしていた。写真は私が高校の写真部時代に撮ったもの、馬の背後に裾野を広げる斜里岳の姿をご覧いただきたい。
社会人になって登山をはじめるようになってから、はじめて斜里岳に登ったのだが、若い時は、暗いうちに釧路を出発し、山に登ってから、以久科海岸(砂浜性の植物の宝庫だった)で海水浴をして、釧路に戻ることもあった。山よし、海よしの斜里です。

斜里岳をガイドする加藤ガイド。在阿寒湖温泉で「一歩園森の案内人」でもあります。
斜里岳をガイドする加藤ガイド。在阿寒湖温泉で「一歩園森の案内人」でもあります。

「月刊 旅行読売」のエコツーリズム特集に釧路湿原散策紹介

IMG_0002旅行雑誌の老舗『月刊 旅行読売9月号』の取材を受け、釧路湿原展望台から温根内ビジターセンターまでの6.5kmをご案内し、取材を受けました。エコツーリズム特集で全国24箇所のガイド付きツアーが紹介されています。“オトナの旅の道しるべ”がコンセプトのこの雑誌、昭和34年発刊ということなので、戦後の日本人の旅文化をつくってきたジャーナリズムなんですね。こんな雑誌にとりあげられるのも光栄です。皆さんも書店で目を通してみてください。私たちもかわいらしく写っていますよ。

湿原散策の一番長いコースを歩きました。あの時期は天気よかった
湿原散策の一番長いコースを歩きました。あの時期は天気よかった

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暑中お見舞い申し上げます クスリ凸凹旅行舎「夏の便り」です

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「遠くに行きたい」といえば永六輔、「11PM」といえば大橋巨泉。テレビ文化を牽引した二人の文化人が相次いで亡くなった。ボクのカルチャーシーンの骨格は、御両人に寺山修司を加えるとほぼ出来上がる。11PMとラジオの深夜放送は受験生のひと時の休息というより、いつしかこちらがメインとなった。金曜日の11PMは、映画評論や競馬予想等、従来の娯楽の域を超えたサブカルチャーを我々にもたらしてくれた。おかげで此方はこの歳になっても、人生の楽しみをより深く味わえる教養の素地を育んでもらった。お二人ともリベラルな方で、巨泉の週刊「現代」の最後のコラムは、遺言であり現政権への憤慨であった。ジャズでいえば「モーニン」ってとこか。
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●今年の阿寒クラシックトレイル第1弾「里の道」は、古道トレイルに加え、上徹別福祉館をお借りして、夜にアイヌ料理、アイヌ音楽、歴史談話等のイベントをおこなう、1泊2日のスペシャルイベントです。音楽は阿寒湖在住の姉妹デュオ「カピウ&アパッポ」の歌と伝統楽器の演奏です。また、コタンの古老に当時のお話も伺います。寝袋をご用意いただき昔の小学校での林間学校気分でちょっとレトロな夜をご一緒しましょう。

「里の道」を歩こう!


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●「北海道の日」制定の動きが新聞報道され、松浦武四郎が蝦夷地の名称を提案した7月17日をメインに検討されているようです。2018年が北海道開名150周年にあたるとのことで、我らが阿寒クラシックトレイル研究会でも、それにあわせて阿寒クラシックトレイルの記念ツアーができないか、検討中。武四郎の故郷は伊勢街道筋(現在の松阪市)なので、名古屋方面と双方向で、武四郎蝦夷地探訪の足跡と武四郎の故郷めぐりをツアー化できないかとおもってます。「北海道の日」に関してはこんなことも考えました。以下

「北海道の日」制定について考える


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●ホームページのフロントページに「今日の一枚」というコーナーをつくりました。出来るだけ毎日更新し、1枚の写真をもとに、ふと感じたことやお伝えしたいことをメモ書き風に掲載しています。5月からはじめたのですが、三日坊主の私にしては結構、順調に更新されています。是非、一度ごらんください。

今日の一枚


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道東にもそれなりに暑い日がやってきました。夏風邪をひかぬように、美味しいソフトクリームとビールで乗り切ってください。
ではまた。

ネンキン生活者、ネンキン生活を目指す輩、ネンキンの未来を信じる皆さんの必読書ご紹介

私は隠れ新井ファンではなく、顕れ新井ファンです。
私は隠れ新井ファンではなく、顕れ新井ファンです。

amazonから新井文彦著『粘菌生活のススメ』(誠文堂新光社)が到着。新井さんは年約5ヶ月間ほど阿寒湖畔に在住し、ネイチャーガイドをしながらキノコや粘菌の取材を重ねています。これまでもキノコの素晴らしい著作がありますが、今回は、ネンキン生活者、ネンキン生活を目指す輩、ネンキンの未来を信じる皆さんの必読書。まず、写真だけでご飯が3杯食べられる内容。素晴らしい!まさに自然(観光)資源の掘り起こし。私もネンキン生活が楽しみです。新井さんのガイドは、阿寒ネイチャーセンターへお問合せ下さい

阿寒のフィールドにはこんな世界もあるんだねぇ
阿寒のフィールドにはこんな世界もあるんだねぇ
こいつにはまいっちゃうね。思わずカワイイ
こいつにはまいっちゃうね。思わずカワイイ
現物を探しに行こう!
現物を探しに行こう!
これは、これは、阿寒のアウトドア最強ウーマン登場
これは、これは、阿寒のアウトドア最強ウーマン登場

テレビマンユニオン製作「遠くに行きたい!」で鶴居阿寒の仲間たちが出演

IMG_0004テレビマンユニオンといえば、私の世代(60代)にとっては、テレビ時代の先駆けをまさに疾走していた制作会社でした。ベトナム戦争激化のなかで、TBS系をメインとするテレビ報道の可能性を切り開いていた猛者たちが集結していた印象があり、電話で問い合わせがあった時も、優しい女性スタッフの声でしたが、おもわずドキッとしました。
「遠くへ行きたい」はそのテレビマンユニオンが製作している現在のテレビレギュラー番組の最長寿番組だそうです。私の子どもの頃は、永六輔さんがレギュラー出演し、観光地ではない普通の町の風土にふれる、今日のツーリズムの先鞭をつけた番組だったようにおもいます。今回は、釧路ロケ編で少しばかり情報提供のお手伝いができました。
いつもお世話になっている、鶴居、阿寒の皆さんが画面に登場し、おもわず写真を撮りました。人と自然の関係性を大切にしている番組コンセプトは今も昔も変わらないようにおもいました。

鶴居のネイチャーガイド毛利さんも音羽橋でガイド
鶴居のネイチャーガイド毛利さんも音羽橋でガイド
タンチョウを慈しむ山崎親子三代
タンチョウを慈しむ山崎親子三代
西田さんの刺繍には心を感じます
西田さんの刺繍には心を感じます
ポロンノ一家には未来が見える
ポロンノ一家には未来が見える

今年一年の感謝を込めて「凸凹冬の“美の壷”」をご覧下さい

moanin3今年一年の感謝を込めて、昨年より還暦の手習いではじめたピアノを一曲お聴きください。「モーニン」は有名なJAZZナンバーですが、「あさ!」ではなく、「うめく、嘆く」という意味だそうです。一曲全部聴いていただくのは恐縮なので、冬の情景をスライドショーにしました。題して「凸凹冬の”美の壷”」です。上映は約2.5分。では、どうぞ!moanin3&4

 

 

発見!!阿寒国立公園の3つのカルデラを一望できる処

3つのカルデラが一望できる摩周岳ピーク
3つのカルデラが一望できる摩周岳ピーク

好天の11月4日、グリーンシーズンもひと段落し、ほっと一息。摩周岳に足を運びました。晩秋とはおもえる暖かな日和。片道7.2kの登山道はとても草刈が行き届き、クマイザサも気にすることなく快適な散策でした。松浦武四郎の6回目の蝦夷地探検では摩周カルデラを時計逆周りで摩周岳に登頂し、湖のほとりの洞穴で1泊しました。最近は、北根室ランチウェイのルートにもなっており、西別岳からの縦走も容易です。
また、アイヌの山本多助さんが記したカムイヌプリ(摩周岳は神様の山です)を舞台にしたカラスの伝説をはじめ、アイヌの物語の数々もこの山のイメージを豊かに彩ります。
あまり起伏もきつくなく、頂上直下の登りだけがきつく感じました。頂上は、槍ヶ岳をおもわせる風貌で、ピークも狭く少々怖いけど、なんとも見事な眺めに圧倒させられます。
摩周カルデラはもとより、屈斜路、阿寒の3つのカルデラが一望出来る処はここだけでしょう。太古の記憶から今に至る歴史におもいをはせたひと時でした。

この日の摩周湖はとにかく美しい!
この日の摩周湖はとにかく美しい!
落葉したシラカバの明るい道をいきます
落葉したシラカバの明るい道をいきます
これが摩周ブルーか!
これが摩周ブルーか!
西別岳を正面にみて、きれいに草刈がされた登山道
西別岳を正面にみ、きれいに草刈がされた登山道
今年の雪です。
今年の雪です。
片道7.2kだけど距離はかせげます
片道7.2kだけど距離はかせげます
ピークを眺めながら、奥は斜里岳
ピークを眺めながら、奥は斜里岳
ピークは狭く、決してはしゃがないこと
ピークは狭く、決してはしゃがないこと
右下の入り江に武四郎の泊まった洞があるそうな
右下の入り江に武四郎の泊まった洞があるそうな
登頂祝賀ケーキは川湯駅前森のホールで
登頂祝賀ケーキは川湯駅前森のホールで
いつになく気取った凸凹
いつになく気取った凸凹

なぜ、ニホンライチョウは北海道にいないのだろう?

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ハイマツからあたりを見回す
ハイマツからあたりを見回す

北アルプス登山の野鳥的醍醐味はライチョウとの出会いである。3年前、剱岳立山縦走登山で台風のなか、ライチョウに出会い、悪天候こそライチョウに出会えるものとおもっていた。今回、常念山脈縦走では、好天に恵まれ、まったくライチョウのことは頭になかったが、燕岳山頂周辺でなんと人をおそれぬライチョウの雌と戯れることができた。この時期、クロマメノキやフレップ、ガンコウランなど採餌に最適な季節ではあるが、あまりにも人を恐れぬライチョウで、山小屋のスタッフに聞くと、「燕岳のライチョウは他より人を恐れないんです」と実証的な回答。
物の本によると、日本を南限にユーラシア、北極圏などに生息するなかでも日本のライチョウは人を恐れない、若しくは人に虐められていない、人懐っこい野鳥なのだそうだ。
ライチョウは日本固有種の亜種ニホンライチョウで日本アルプス高山地帯にのみ生息している。

阿寒の林道で見かけるエゾライチョウ
阿寒の林道で見かけるエゾライチョウ

北海道にはエゾライチョウというこれまた北海道のみに分布しているものがいるが、こちらは同じライチョウ科でもライチョウ属にたいしてエゾライチョウ属で違う仲間に分類される。
ライチョウが冬毛代わりして真っ白の保護色になるのは有名だが、エゾライチョウは年中同じ羽色である。どちらも美味しい鳥のようで、エゾライチョウを食べた話は阿寒でよく聞いた。今でもエゾライチョウは狩猟鳥になっている。欧州ではクリスマスに七面鳥を食べる前はこのエゾライチョウを食べていたそうだ。
阿寒の林道で春先など幼鳥を連れたエゾライチョウを見るのは比較的容易である。ニホンライチョウが高山志向に対して、エゾライチョウは里山志向なのである。

目の上にオレンジ色の肉冠がみえる
目の上にオレンジ色の肉冠がみえる

今回、ニホンライチョウの雌にも肉冠(トサカのことです)があるのを発見した。近づいてきてひょんな調子に興奮したのか、その肉冠が色鮮やかに肥大した。雄の肉冠は肉感的に大きいが雌もあるんだねぇ。
ちなみに、私の最大の謎は、氷河期の生き残りと言われ、大陸から渡ってきたライチョウがなぜアルプスには残って、北海道には残らなかったのかということだ。日頃、釧路湿原の異存種(レリック)たちを紹介しているが、温暖期に移行するなかでより寒冷な北海道にライチョウが残らなかったことが不思議だったのである。
山小屋の図書室でライチョウ関係の本で調べてみた。そこには、「北海道に残らなかったのは不明である」とあった。ライチョウは約3千羽ほどで岐阜県、富山県、長野県の県鳥であり国の特別天然記念物である。我が北海道の鳥はタンチョウ、こちらも全世界の生息数は約3千羽、同じく国の特別天然記念物である。
天の配置はなんとも魅力的な棲み分けをみせてくれる。

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こんなに距離が近い!
こちらはイワヒバリ。北海道にはほぼいないことになっている。
こちらはイワヒバリ。北海道にはほぼいないことになっている。
ルリビタキの雌。登山中の針葉樹林帯に多い。
ルリビタキの雌。登山中の針葉樹林帯に多い。
ハイマツの実をむさぼるホシガラス。北海道でも元気。
ハイマツの実をむさぼるホシガラス。北海道でも元気。