「武四郎逍遥」カテゴリーアーカイブ

白い川、黒い川、赤い川

松浦武四郎足跡めぐりツアーの魅力の一つが、蝦夷地探検の間、採取したアイヌ地名を訪ねるというもの。特に現在のマリモ国道沿いにも地名板があって、現役地名がいくつもある。興味深い地名にワッカクンネナイがある。これは現在は白水川という和名が付けられているが、アイヌ名のワッカクンネナイは、ワッカ(水)、クンネ(暗い・黒い)、ナイ(川)。つまり、和人は火山噴出物で白濁した水をみて、白水川といい、アイヌは川底の黒い安山岩で黒い川と名づけたのではないか。現在も、雨が降ると白水川はすぐに白濁する。その支流にはフレベツ川があって、こちらはフレ(赤い)、ペツ(川)で、渇鉄鉱の鉱山が上流にあり、岩底に付着した鉄錆の色からフレペツと名づけたよう。ほんの狭いエリアに、白・黒・赤の川がある。写真は、フレベツ川と白水川の合流点。本当に赤い川と白い(黒い)川が交わる。ツアー案内はこちら。

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大天使ガブリエルの青いマント

IMG_0887 私の住む美原地区には外周4.5kの散策路がある。野草園をつくっているグループがいて、この時期の楽しみのひとつだ。エゾエンゴサクは、春を告げる代表的な野草だが、今年もこんな感じで、小規模だがまことに美しい。倉本聰さんの「風のガーデン」では確か、大天使ガブリエルの青いマント、という花言葉を記憶しているが、主人公のお父上、『貞三先生の花言葉』では、「妖精たちの秘密の舞踏会」とある。どちらが、らしいか、悩ましい。
最近、外国人をご案内する準備で野草の英名を調べていたら、こちらは、Corydaris Tuber。さらにアイヌ語ではトマ(食用の塊茎部をさす)という。言語毎に名前を覚えるのは中高年の脳細胞には大変すぎる。名前を覚えればいいというものでもない。何といっても、エゾエンゴサクの白から青、時には紅青までの花色と様々な変化にとんだ花びら、こんなに多様な変化を見せる野草もめずらしいのでは。松浦武四郎も『久摺日誌』に紹介。ここでは黄色いエンゴサクも見たとある。じっくり美しさに浸りたいものだ。