道東にある阿寒摩周、知床、釧路湿原をつなぐロングトレイルが開通しました。全長410kmで起終点は釧路市の幣舞公園と羅臼の潮風公園です。それぞれには道東を探検した松浦武四郎像と知床旅情でおなじみのオホーツク老人像が旅人を見送ってくれます。今年は日本の国立公園が指定されて90周年で、阿寒摩周国立公園はその初年度指定の栄誉にあずかっています。環境省は国立公園満喫プロジェクト事業の一環として、関連官公庁はもとより、関係自治体やトレッキンググループ、ガイドたちとも連携し、まさに官民一体となって進めてきたプロジェクトです。
とは言え、スタートしたばかりでこれから充実したトレイルに成長できるかが課題です。関係者はもとより3人の「北海道東トレイルオフィス」スタッフを盛り上げて、10年後の国立公園100年にもハイカーに愛されているトレッキングルートになるよう、是非、皆さんも自分の歩ける範囲で歩いてみてください。
下の写真はこのプロジェクトで新たに拓かれた道「裏摩周外輪山・神の子池トレイル」のオープニングイベント(10月6日実施)の様子です。摩周湖第一展望台から裏摩周展望台までの約11kmを歩きました。
「映画・本・JAZZ・登山」カテゴリーアーカイブ
新刊『東蝦夷物産志を読む』が出版されました。
19世紀を目前にロシアからの脅威に対応するため、幕府は東蝦夷地を直接管理にして国土防衛と蝦夷地の開拓に力を注ぐ体制をとります。
そのための現地調査に様々な分野の調査団がやってきます。本草学者渋江長伯を筆頭にした一行34名は、蝦夷地の植物を中心とした学術調査を4か月にわたり行います。その記録は、採集録、草木図、標本等の史料として遺されました。この本は、植物・アイヌ文化・古文書の釧路地方の研究者が集い、7年にわたる史料整理や現地調査などをふまえ、まとめた当時の自然を知る道しるべとなる画期的な図書です。
アイヌ語名として記録された植物の利活用方法などを当時の古文書や史料から読み解き、今日の植物種類と照合し、古の北海道の自然をまとめた植物図鑑です。
草木235種オールカラーで当時の草木図(複写)や標本資料もあわせて紹介しています。是非、私達の身近な植物にも歴史やアイヌ文化をとおしてあらたな発見をしていただければ幸いです。
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佐藤さん、釧路市民文化賞受賞
釧路市文化賞の発表がありました。顔見知りの方たちの嬉しい受賞。なかでも佐藤宥紹さんは半世紀にわたり、ご指導ご支援いただいた先輩、先生、友人。この間、数々の教えを現場で、講演会で、お茶をしながらいただきました。当舎『復刻阿寒国立公園の三恩人プラス』では共同編・著者として、前田正名に関する渾身の論考を掲載。地域文化とともに、地域の歴史を記し、伝え、話した。その恩恵に授かった方は計り知れず。何よりも釧路の文化賞受賞というのがいいですね。これからも引き続きご活躍を祈念します。
新刊〝江戸時代の蝦夷地〟アイヌと和人の共同調査がうんだ画期的な植物図鑑のご案内
当舎では2024年9月1日に新刊『渋江長伯一行の蝦夷地植物採集紀行~「東蝦夷物産志」を読む』を刊行します。これは江戸時代の本草学者一行が東蝦夷地(太平洋沿岸地域)を4か月にわたり植物採集調査をした史料を解読し、現在の環境と照らし合わせて図鑑にまとめたものです。釧路地方在住の女性3名の研究者(植物、アイヌ語、古文書)が協同して取り組んだ成果です。アイヌと和人が蝦夷地の植物を調べ、その利活用の在り方をまとめたもので、現在の様子との対比もふくめて環境の変化や人と自然の共生の在り方を植物を通して検証できる貴重な書籍です。とはいえ、決して取り付きにくい本ではありません。手に取ってフォールドで書斎で、身近な植物のアイヌ語名や昔の利活用の在り方を興味深く知る手立てにある本です。是非、書店で手に取ってご覧ください。9月1日以降、コーチャンフォー道内各店及び市内書店等にて随時販売されます。また、当舎でもネット申込いただければ、販売いたします。
懐かしい釧路の街並みを伝える喫茶「なしかし館~蔵」
釧路駅から幣舞橋までの約8百mはかつての中心街で、今は郊外の国道沿いに遷ってしましました。現在の北大通は金融機関やホテルが目立ちますが、釧路市の中央図書館もあります(北海道銀行の2階以上の階)。その並びにローソンがあって、その奥にあるのが喫茶「なつかし館~蔵」。中野さんという個人蒐集家が集めた華やかなりしころの釧路を伝えるアイテムが満載の喫茶店です。新刊『復刻阿寒国立公園の三恩人+プラス』の新聞取材の合間に「蔵」で一休み。いつもながらオールド釧路を思い出すひととき。おにぎり+おやきでランチ。昭和レトロの雰囲気も充満しております。是非一度、旅先の歴史にも触れてみてください。