■阿寒クラシックトレイルとは
歴史的に長く、評価の定まった物事を指して、「クラシック」と呼ぶ。全行程約60kmのこのルートは、3つのセクション「里の道」「川の道」「山湖の道」に分かれ、タンチョウの里(阿寒町)からマリモの湖(阿寒湖温泉)までを結ぶ、北海道の自然の魅力が凝縮されたルートです。
また、松浦武四郎や前田正名はもとより、アイヌや和人が交通交流をなして、多くの歴史の物語が刻みこまれたルートでもあります。
阿寒クラシックトレイル研究会では、歩きを基本に、獣や、人や、馬や、舟や、汽車や、車が行き来した、この故郷の汗が染み込んだルートを「阿寒クラシック」として、これを活かしたトレイルをすすめています。阿寒クラシックトレイルはイベントで開催されます。
【お知らせ】2014年から毎年開催してきました阿寒クラシックトレイルは、昨年、2018年をもって定例イベントとしての開催を終了しました。今後の開催については不明ですが、忘れないように何年かに一度は、歩き続けたいと思っております。
■里の道
阿寒町でかつて栄華を極めた雄別炭鉱へと至る雄別鉄道の痕跡は、今は静かな林道となっている。道中にはコロポックル伝承の残る岩屋あり、武四郎の一泊したトモノウ邸の跡もあり。
そのまま武四郎の足跡をたどり歩けば、開拓の歴史を継ぐ人々の作り出した穏やかな農村風景が広がり、その向こうにはゴールとなる阿寒湖の山々が見える。
「里の道」は、この地区の折り重なった様々な歴史や営みを垣間見せてくれる。
■川の道
古代から人や動物たちの移動ルートだった阿寒川の川筋に、19世紀の初頭に江戸幕府により網走山道が拓かれた。釧路と阿寒湖の間に広がる原生林の中に、史上初めて作られた一本の馬車道である。
深い森の中のその道を通る者は、鹿の踏み跡や糞、クマゲラの食痕、川鳥の鳴き声、はたまた熊の足跡などを見たことだろう。
上飽別からピリカネップへと至る「川の道」ルートは、そんな往時を忍ばせる道だ。
■山湖の道
前田一歩園財団の管理する林道「雄観線」は、松浦武四郎が歩いた道と推測されるルートにほぼ沿っていると考えられている。
イタルイカオマナイ(アイヌ語で「橋のある川」)を渡って山道を登り、ルチシ(峠)を越えて阿寒カルデラの内部へと至る道を歩けば、眼前に雄阿寒岳と阿寒湖の展望が広がってくる。植樹の森を抜けトーチピヤニ(湖の船着場)からは武四郎に習い船で行く。
「山湖の道」は、武四郎の視点を追体験できる道である。