ガイド仲間から春採湖でアメリガヒドリを見た、との情報を得て、さっそく湖岸散策探鳥に出かけた。春採湖は釧路市民のオアシス。市街地に残った氷河期の忘れ形見、海跡湖でもある。海側にある観察小屋(hide)周辺に水鳥が集まっておりヒドリガモ、オオバンの群れの中にちょっと雰囲気の違うのが一羽。アメリカヒドリである。頭が白っぽく、耳羽(じう)が緑色の印象でちょっと大きい感じがする。ほかのヒドリガモと比較すると違いが良く分かる。世界の野鳥の分布域は7区域(旧北区、新北区、東洋区、エチオピア区、オーストラリア区、新熱帯区、南極大陸)に大別される。世界分布が分かる『鳥630図鑑』では、アメリカヒドリの多くは新北区の北米北アメリカ、アラスカで繁殖し、メキシコ中南米寄りで越冬する。日本在住の著名野鳥ガイド、マーク・ブラジルさんの『Birds of East Asia』はアジアエリアに特化した図鑑だが、ロシア極東北部アナディリ湾の渓谷に繁殖地があり、このグループが朝鮮半島、日本、台湾で越冬するとある。
ヒドリガモの名前由来は雄の緋色(ひいろ:やや黄色味のある赤、英語ではスカーレット)の頭部羽色であるが、アメリカヒドリはほぼ白っぽい羽色。群れのなかでポツンと寂しそうにも映るが、そんなのは意に介さず活発に動き回っていた。皆さんも是非どうぞ。