新刊『東蝦夷物産志を読む』が出版されました。

19世紀を目前にロシアからの脅威に対応するため、幕府は東蝦夷地を直接管理にして国土防衛と蝦夷地の開拓に力を注ぐ体制をとります。

そのための現地調査に様々な分野の調査団がやってきます。本草学者渋江長伯を筆頭にした一行34名は、蝦夷地の植物を中心とした学術調査を4か月にわたり行います。その記録は、採集録、草木図、標本等の史料として遺されました。この本は、植物・アイヌ文化・古文書の釧路地方の研究者が集い、7年にわたる史料整理や現地調査などをふまえ、まとめた当時の自然を知る道しるべとなる画期的な図書です。

アイヌ語名として記録された植物の利活用方法などを当時の古文書や史料から読み解き、今日の植物種類と照合し、古の北海道の自然をまとめた植物図鑑です。

草木235種オールカラーで当時の草木図(複写)や標本資料もあわせて紹介しています。是非、私達の身近な植物にも歴史やアイヌ文化をとおしてあらたな発見をしていただければ幸いです。

本書の執筆者である北方植物資料研究会のメンバー。植物、アイヌ語、古文書の研究家たちは足かけ7年にわたる調査研究を経て出版に至った。
北海道新聞(2024.10.4)紹介記事

佐藤さん、釧路市民文化賞受賞

釧路市文化賞の発表がありました。顔見知りの方たちの嬉しい受賞。なかでも佐藤宥紹さんは半世紀にわたり、ご指導ご支援いただいた先輩、先生、友人。この間、数々の教えを現場で、講演会で、お茶をしながらいただきました。当舎『復刻阿寒国立公園の三恩人プラス』では共同編・著者として、前田正名に関する渾身の論考を掲載。地域文化とともに、地域の歴史を記し、伝え、話した。その恩恵に授かった方は計り知れず。何よりも釧路の文化賞受賞というのがいいですね。これからも引き続きご活躍を祈念します。

新刊〝江戸時代の蝦夷地〟アイヌと和人の共同調査がうんだ画期的な植物図鑑のご案内

当舎では2024年9月1日に新刊『渋江長伯一行の蝦夷地植物採集紀行~「東蝦夷物産志」を読む』を刊行します。これは江戸時代の本草学者一行が東蝦夷地(太平洋沿岸地域)を4か月にわたり植物採集調査をした史料を解読し、現在の環境と照らし合わせて図鑑にまとめたものです。釧路地方在住の女性3名の研究者(植物、アイヌ語、古文書)が協同して取り組んだ成果です。アイヌと和人が蝦夷地の植物を調べ、その利活用の在り方をまとめたもので、現在の様子との対比もふくめて環境の変化や人と自然の共生の在り方を植物を通して検証できる貴重な書籍です。とはいえ、決して取り付きにくい本ではありません。手に取ってフォールドで書斎で、身近な植物のアイヌ語名や昔の利活用の在り方を興味深く知る手立てにある本です。是非、書店で手に取ってご覧ください。9月1日以降、コーチャンフォー道内各店及び市内書店等にて随時販売されます。また、当舎でもネット申込いただければ、販売いたします。

採集紀行の記録書を解読し、それぞれの植物のアイヌ語名とそれに符合する植物種名を表示。その利活用を解説しています。
全184頁でオールカラー。昔の草木図や標本資料とともに、現在の写真も掲載されているので確認ができます。
写真が無い時代では、絵師が調査隊に同行し、植物の写生のみならず、旅の様子も絵図で伝えてくれています。
目次です。調査隊一行が旅したのは道南・松前から太平洋沿岸沿いに道東・厚岸までの往復4か月でした。

釧路湿原を釧路川沿いに細岡駅から釧路市内までトレッキング

トレイルの仲間たちと釧路湿原の細岡駅から釧路市内までを歩いてきました。好天でそよ風も涼しく湿原の稜線の木陰は快適でした。約25kmを久しぶりのロングトレイル。現在、環境省が音頭をとって羅臼と釧路をつなぐ約400kmのロングトレイルルード「北海道東トレイル」を準備中。今年の10月開通を目指しています。この日はその釧路湿原部分のセクショントレイルでした。様々な素性の初対面の方々同士も何やら言葉を交わしながら一緒に歩くのはなかなかいいもんです。(2024.07.01)

ねむろ武四郎トレイルを歩く

昨日は根室の仲間たちと「ねむろ武四郎トレイル」。松浦武四郎一行が初航と6航時に往復した別当賀の海岸線を歩きました。日誌と地図をたよりに大満足の自然&歴史散策でした。武四郎の足跡を歩く「新・道東紀行」今年も頑張るぞ~!

釧路湿原、阿寒・摩周の2つの国立公園をメインに、自然の恵が命にもたらす恩恵を体感し、自然環境における連鎖や共生の姿を動植物の営みをとおしてご案内します。また、アイヌや先人たちの知恵や暮らしに学びながら、私たちのライフスタイルや人生観、自然観を見つめ直す機会を提供することをガイド理念としています。