「極東野鳥ノート」カテゴリーアーカイブ

落石漁港で憧れのエトロフウミスズメとじっくり2時間

エトロフウミスズメはカムチャッカ、オホーツクからアリューシャンにいたる海域のみに生息する海鳥
エトロフウミスズメはカムチャッカ、オホーツクからアリューシャンにいたる海域のみに生息する海鳥

根室のガイド仲間から、落石漁港にエトロフウミスズメが入っているとの情報をもらい、急遽、釧路から2時間、車をとばし落石漁港へ行ってきました。図鑑でしかお目にかかれない海鳥が、落石ネイチャークルーズの運航で俄然、身近な観察対象になってきたのは嬉しい限りです。さらに漁港の野鳥情報発信も充実してきて、最近、私の観察リストにも新規登録が増えてきました。
ここ数日の荒天でクルーズは欠航とのことですが、荒れた外海から静穏な湾内に海鳥たちが避難してきたようです。エトロフウミスズメは通常、外洋で観察される鳥とのことですが、こんな身近で、それも足のついた陸から観察できるなんて…。

こんな近くで潜水採餌を繰り返すエトロフウミスズメ
こんな近くで潜水採餌を繰り返すエトロフウミスズメ

いました、いました。おもったより小柄でずんぐり体型。図鑑の冬羽より、立派な冠羽、嘴はくすんだオレンジで、眼際の白いラインは随分と明瞭で長い印象でした。潜水採餌を繰り返すのですが、岸壁際からすぐそばでほぼ同じ間隔で浮上するので観察がし易い。約2時間ほど4羽の個体を確認しました。
落石クルーズの方によると、ちょっと弱っていた個体がオオワシにさらわれたとのこと。自然は厳しい。
この日は、風が強く、外海は荒れていましたが、こんな時だからこそのバードウォッチングもあるのですね。エトロフウミスズメを観察していたら、上空を見慣れぬ鳥が旋回し、港の空き地に留まりました。慌てて写真を撮ってから図鑑を見ると、ケリという鳥。北海道にはほとんど馴染みのない野鳥です。温暖化、荒天等さまざな要因も推測できますが、このケリ君、周りのカラスに威嚇されながらも、初めて見るかのように雪の周りで餌をあさっておりました。
産業活動の場所なので注意が必要ですが、港は身近なバードウォッチングの適地でもあります。意外な来客とじっくり出会うこともできますよ。

黄色が越冬地、緑色は周年生息地。(『鳥630図鑑』日本鳥類保護連盟刊より)
黄色が越冬地、緑色は周年生息地。(『鳥630図鑑』日本鳥類保護連盟刊より)
何のための冠羽、眼際の白いライン、折りたたんだ後ろ足…。
何のための冠羽、眼際の白いライン、折りたたんだ後ろ足…。
たった1羽でさびしそうな佇まいにカラスがちょっかいを出します
たった1羽でさびしそうな佇まいのケリ。カラスがちょっかいを出します
雪がはじめてかのような、ケリの忍足
雪がはじめてかのような、ケリの忍足
一婦多夫ではないとおもうけど、ボディーガードなみにオスに囲まれたメス。
クロガモは一婦多夫ではないとおもうけど、ボディーガードなみにオスに囲まれたメス。
落石漁港を外洋から隔てる岸壁
落石漁港を外洋から隔てる岸壁
道路際の残雪を前にたたずむケリ
道路際の残雪を前にたたずむケリ
ハジロカイツブリの番、ルビー色の眼が魅力的
ハジロカイツブリの番、ルビー色の眼が魅力的

冬の国際ツルセンター「グルス」は人も鳥も大賑わい

ハクチョウの咲く山林
ハクチョウの咲く山林

タンチョウの給餌場で研究センターの役目も果たす阿寒国際ツルセンター「グルス」はカメラマンやバードウォッチャー、観光客で大賑わいです。
この給餌場の特徴は、午後2時から魚の給餌をおこなうことです。これを目当てに、タンチョウはじめ、オジロワシ、トビ、オオワシなどの猛禽類も集まり、
それを撮影するカメラマンも世界から集まって、さながらアウトドア国際会議場の様相です。
私もお客様をご案内して行きますが、この日は、常連に加え、ハクチョウやマガモさらにはキツネ君も登場し、さながら北方動物園のようでした。2月一杯まで給餌活動が続きます。

キツネ君も登場
キツネ君も登場
オジロワシのなる木
オジロワシのなる木
タンチョウのなる畑
タンチョウのなる畑

 

野鳥の楽園で鳥三昧の2日間をエンジョイ+ガイド

世界的スター、オオワシは憧れの鳥No.1!
世界的スター、オオワシは憧れの鳥No.1!

2016根室バードランドフェスティバルのガイドスタッフとして1月30.31日参加してきました。前年が凄まじい吹雪で全てのガイドツアーが中止という試練をこえて、今年は快晴好天となり、全てのガイドツアーが催行されました。

完全耐寒装備でいざ、ツアーに出発!
完全耐寒装備でいざ、ツアーに出発!

私は港やハイド(観察小屋)巡りのツアーガイドで参加者の憧れの鳥などに出会うお手伝い役ですが、そこは自然が相手の世界、なかなかおもう様には行きません。
根室のバーダーの話では、今年は少し鳥の出がおもわしくないとのことですが、しかし、野鳥の楽園・根室らしく、オオワシやオジロワシなどのビックスターから、ユキホオジロ、ハギマシコ、チシマシギなどの名脇役、さらにはハイブリット(混血種)の珍客まで登場、期間中80種に及ぶ野鳥が観察されました。
メイン会場では物産や野鳥活動団体、メーカー、さらには講演会や地元ジャズバンド演奏、イベント等の催しも賑やかな2日間でした。
来年は10回目ということで関係者も張り切っています。是非、来年はご一緒したいですね。

チーズ、クッキー、珍味類などこれまでにない若いセンスにあふれた物産コーナー
チーズ、クッキー、珍味類などこれまでにない若いセンスにあふれた物産コーナー
根室のチーズはパッケージも野鳥デザイン
根室のチーズはパッケージも野鳥デザイン
クッキーも鳥型、素材も道産素材にこだわり
クッキーも鳥型、素材も道産素材にこだわり
トーサンポロ沼には淡水カモたちの群れ
トーサンポロ沼には淡水カモたちの群れ
道外の方には憧れの海カモであるコオリガモのペア(左♀)
道外の方には憧れの海カモであるコオリガモのペア(左♀)
珍客ハイブリッド(混血種)のカモちゃん。図鑑には出てこないぞ!
珍客ハイブリッド(混血種)のカモちゃん。図鑑には出てこないぞ!
ハイドという観察小屋からアカゲラをじっくり
ハイドという観察小屋からアカゲラをじっくり
北海道のカケスは亜種でミヤマカケスといい頭が茶色
北海道のカケスは亜種でミヤマカケスといい頭が茶色

昆布森漁港で手軽にバードウォッチングを楽しむ

 

昆布森漁港の堤防から湾内を臨む
昆布森漁港の堤防から湾内を臨む
ハジロカイツブリはルビー色の目が光ります
ハジロカイツブリはルビー色の目が光ります

釧路市から根室にかけての海岸線は「北太平洋シーサイドライン」と称して、断崖の海岸線に漁港集落が点在して風光明媚なエリアです。アイヌ地名に漢字を当てはめてるため、難解地名の宝庫でもあります。
たまに我が家から散策やバードウォッチングに出かけますが、冬は港や海岸で海鳥を手軽に観察できるところでもあります。特に、昆布森漁港はコンパクトな漁港ですが岸壁や堤防沿いに観察箇所があって、両岸の崖地にもワシ類を見る事ができます。今日は、釧路市よりの集落をご案内。

・又飯時(マタイトキと読みます)アイヌ語の意味は:海の背の荒いところ
・宿徳内(シュクトクナイ)意味:エゾネギの群生している沢

難解地名のサインです。「マ」が抜けています。
難解地名のサインです。「マ」が抜けています。
百メートル前後の丘陵地から海岸に降りる坂
百メートル前後の丘陵地から海岸に降りる坂
マタイトキの海岸線
マタイトキの海岸線
シュクトクナイはヘアピンカーブで海岸に降りていきます。
シュクトクナイはヘアピンカーブで海岸に降りていきます。
沢は水路になっていますが、エゾネギは生えるのでしょうか
沢は水路になっていますが、エゾネギは生えるのでしょうか
穏やかな湾内には海鳥が(昆布森漁港)
穏やかな湾内には海鳥が(昆布森漁港)

あかぬ鳥・タンチョウ

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中州の浚渫でケアラシのなかのタンチョウが一段と幻想的

根室の野鳥観光ビジネススクールに入れていただき、英語で野鳥ガイドをする勉強をしている。この研修授業でタンチョウの探鳥地めぐりをした。
あたらめてタンチョウの美しさと多様なタンチョウの活動を観察することができた。また、鶴居村ではタンチョウと人(酪農家や観光関係者)の関係を巡る諸問題を学ぶとともに、タンチョウを巡る産業観光とでも言ったらよいのか、現地視察も出来、ガイドにとっても大きな糧を得ることができた。
11月に入ると給餌が始まるが、今年からタンチョウの分散化を目指して、給餌量を1年1割ずつ減らし、5年後には半分にする計画がスタートするそうだ。順調に個体数を増やしている(推定で1500羽ほど)現状で、集中化による弊害と自立を促すため生息地分散を図る目的だそうだ。
関係者は周辺農家への被害を危惧していたが、タンチョウと人との関係性を試されることになるかもしれない。
そんなタンチョウではあるが、日の出の音羽橋は、いつきてもこの鳥の美しさを再認識させる光景がひろがり、しばし寒さを忘れるホットスポットだ。
幕末の探検家・松浦武四郎は阿寒岳を「あかぬ山」と称し、いつまでも見飽きない<あかぬ山>として、その魅力を表現した。それに習えば、さしずめタンチョウは<あかぬ鳥>であることは間違いない。

高台から音羽橋と雪裡川を遠望する
高台から音羽橋と雪裡川を遠望する
遅生まれの幼鳥。おそらく7月から8月生まれ。
遅生まれの幼鳥。おそらく7月から8月生まれ。
雪裡川のねぐらは日の出ころにはケアラシのなかのタンチョウが群れる
雪裡川のねぐらは日の出ころにはケアラシのなかのタンチョウが群れる