これぞ総合芸術、進化する人形劇の世界

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皆で荒くれ熊退治。熊もちょっとかわいそうな…。

 

人形劇といえば子ども向けというイメージもあるが、人形浄瑠璃や東欧の人形アニメ、アジア各地の人形劇など大人から子どもも楽しめる総合芸術というのが私の印象。3月21日に阿寒湖アイヌシアターで開催された「アイヌの伝承 語り人形劇フェスタ」に出向きました。アイヌシアターイコロでは昨年から人形劇に取り組み、昨年の『ふんだりけったり熊神様』に続き、今年の演目『ちっちゃいカムイとゆっくりカムイ』が上演されました。これが、人形はもとより、影絵あり、映像あり、吹流しあり、イコロのステージをふんだんに使い、まさに総合芸術の魅力満載でした。お話は山本多助さん(阿寒湖にもいたエカシでアイヌ文化伝承者)の『カムイ・ユーカラ アイヌラックル伝』の「ミゾサザイの神が語った話」で、巨大な荒くれ熊を小さいミソサザイが知恵と勇気で立ち向かい、サマイクルの神様や森の鳥たちもそれぞれの力を合わせて退治する勧善懲悪の話です。大人たちにも子どもにもわかる教訓があって、デジタル表現の凄い映像に見慣れた私には、アナログの小さな舞台でもこれだけの世界観を表現できるのだと、まさにこの舞台のあり様が物語の世界とリンクしているかのような感動をおぼえました。
ゴールデンウィークから10月末まで、土・日・祝日の午後1時からの公演だそうです。
ミソサザイは日本最小クラスの小さな鳥ですが、阿寒川や湖岸の岩礁部で繁殖しています。5・6月には驚くほど大きなさえずりが阿寒の森に響きます。是非、一度現物も人形劇と一緒にご覧下さい。阿寒ならではの野鳥観察ですね。

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サマイクルの神と森の鳥たちの作戦会議
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演出の燕座さんと出演者たちの舞台挨拶
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阿寒湖アイヌシアターイコロは年中無休でアイヌ民族舞踊やアイヌ文化の伝承公演をおこなってます
カムイユカラ
平凡社から文庫本で読める原作。ユーカラの世界。