「凸凹日誌」カテゴリーアーカイブ

第5話「グルメの道は遠く」(私たちの旅スタイル全7話)

グルメの敷居が低い港町バルセロナ、ピンチョスでリーズナブルな夕餉。

 当舎の旅先の食事パターンは、10日間の旅行期間であれば、朝食はほとんどホテル付き、昼食は街中でカフェやテイクアウトでランチ。夜はそれぞれの街で1度はレストラン(ビストロレベル)、これに地元のスーパーで買出ししてホテルで食事というパターンが加わる。特にスーパーはお土産もの購入にも最適。今回ローマでの宿泊は駅近。駅構内のスーパーを利用。バルセロナは歩いて2分で市場だったので、不足する野菜、果物も購入。

 さて、旨いものを食べたい、特に安くて旨くて感じがいいレストランに出会うのは至難の技。ここでもネットで調べるのは《トップアドバイザー》のレストランガイド。価格、クチコミ、場所そしてメールでの予約可能なレストランもあるので、日本にいる間に予約も可能。フランスは美食の国なのでパリ到着の夜はばっちりグルメを堪能しようということで、宿の近くのビストロを予約して行ったが、ネットの評判ほどでなく、イマイチ。まあ、こんなことは日常茶飯事。

 イタリアで一番記憶に残った店はフィレンツェで飛び込みで入ったランチのレストラン。ホテルの従業員に聞くのもいいけど、いつも良い店とは限らない。

そんななかで、バルセロナはグルメに遭遇する敷居が低い街であった。バル(スペイン風カフェレストラン)ではタパスという小皿料理やピンチョスというバスク地方のパン片に様々な食材をのせ楊枝でマークした一口つまみがカウンターからチョイスする方式が多く、好きなものを目で確認し、楊枝のや皿の数で清算するのでとても楽に美味しいものにありつける。

 もちろん良い店悪い店もあるんだろうけど、バルセロナのフェルラン通りにある「Orioオリオ」はこの三拍子が揃ったお店だった。宿泊したホテルの近隣のサン・ジョゼッペ市場というバスセロナ最大の市場では、さながら和商市場の3倍くらいの店舗に海鮮、肉、野菜果物、乾物等々の販売とカウンターレストランが随所に配置され、ここでも昼食、夕食、買い物を堪能した。おそらく今までの旅行のなかで、グルメ遭遇率No.1がバルセロナである。スイーツも濃厚なホットチョコレートにピンチョスという油棒菓子をつけて食べる安くて旨い名店があって、我を忘れる。

私の持病は糖尿病。よって、団体ツアーやクルーズ旅行などの三食旨いもの完備は禁断の園。1日10km(今回の平均歩行距離)ほど歩き回り、やっと食事にありつけるくらいが健康には最適。特に「身体の動く間は」この旅スタイルがいい。

旅先ではほぼ何でも食べるし、偏食でもないので食事の心配はない。しかし、帰国直後は無性に蕎麦が食べたくなる。それも駅の立ち食いソバのようなチープなのが理想。成田空港の帰国ゲートフロアにも立ち食いソバ店を!

英国の朝食は最高!たっぷり食べて、しっかり歩こう!(湖水地方)
美食のパリでビストロでランチ、ちょっと豪華
名物料理もチェック。ベルギーのシチュー、ワーテルゾーイ。(ゲント)
スーパーで夕食購入も楽しいグルメタイム(アムステルダム)
港町育ちの私には市場飯は最高!(バルセロナ、サン・ジョゼップ市場)
機内食も楽しみ。さすがフランス、ワインが付きます(エールフランス)

第4話「現地で右往左往もまた良し」(私たちの旅スタイル全7話)

有名なパリミュージアムパス、これでほとんどの美術館を巡れる。空港で購入した。

 旅行の参考図書は『アマゾン』の中古図書で購入。4~5年前の古書だと1円+郵送料の世界。しかし、要注意。今回、これに足元を掬われた。バスセロナのガウディ世界遺産であるグエル公園は現在、事前予約でなければ入場できないシステムになっている。古い雑誌にはそんな記述はなかったので、現地購入とおもっていたら、出来ないことが判明。現地の旅行案内所にも聞いたのだが扉開かず。

今回、購入したてのスマホを宿屋のフリーWi-fiに接続し、ネット購入をこころみたところ、何とか手続きが進み、あとは支払手続きとなったところで、カードのWebサービスのID番号とパスワードの問い合わせ。高齢者には恐怖のID&パスワード。ここで断念。ついに予約とれずグエル公園とは縁がなかったことになった。

教訓は3つ。

  • クレジットカードはpinコード(4桁のやつ)はもとより、WebサービスのID番号とパスワードを忘れずに。(カードは最低2枚、キャリア会社の違うもの)
  • 事前予約がないと入れないところがある。(今回はグエル教会、ボルケーゼ美術館(伊))
  • グエル公園には奥の手があって、開場時間(確か8時~18時)以外は開放されていて、私たちも最終日、早朝に行くことにしたがあいにく雨天で取りやめにした。(最後まであきらめずトライ)。

ネットで事前手配するのに越したことはないのだけど、現地でしか予約又は購入できないものもある。

現地の移動手段である公共交通(地下鉄、バス、トラム等)は回数券(10回がおおいような)や1日単位の乗り放題券、さらには美術館や観光施設ともセットになったパス(バルセロナカード、アムステルダムカードなど)がある。今回はバルセロナ、マドリッドが10回回数券、ローマは3日通し券。

最初に購入するときだけ頑張ればあとは楽である。ヒューマンウォッチングや現地の人との触れ合いを楽しむには公共交通はおもしろい。スマホで目的地を探すのもいいのかもしれないが、スリの格好の餌食になるかも。私はローマの地下鉄でスリ2人組みに狙われたが、スリがどんな雰囲気で行動するかよく観察できた。ローマの地下鉄ではスリに遭遇する確率が高い。スマホよりスリをチェックせよ。

今回バルセロナではフラメンコ観劇のチケットを現地の観光案内所で当日予約購入(その場で支払)した。ちょっと英語力は必要だが、目的が明確なので、身振り手振りでも何とかなる。『ロス・タラントス』という老舗タブラオ(ライブの専用劇場)で、若手の30分位のショーが評判で料金も安くて手頃。これが凄かった。感激した! 現地で楽しめる事を観光案内所でチェックするのもお勧めの一手。

2度目のローマは3日パスでバス利用。車内の改札機で刻印しなければなりません。
待てども時間通りにこないバス。当てにならない時刻表。
メトロやトラムがセットになったパスが一般的。街歩きの必需品。
地下鉄でのヒューマンウォッチングも旅の楽しみ
オランダ全土をカバーする美術館カード。優れもの。

第3話「どんな宿がお気に入り」(私たちの旅スタイル全7話)

長屋風ロンドン(パディントン)のB&B。同じつくりで名前だけ違うので最初は面食らう

宿泊は個人手配するときは《Booking.com》や《Expediaエクスペディア》を使う。英国のフットパスめぐりではB&Bやインといった民宿系の宿泊地を探したのだが確保が容易。ただ注意点というか、私の失敗例もご参照下さい。

 宿泊設備の用件をよくチェックすること。特にトイレが共用か、部屋付けか。バスタブがあるか、ないか等、よくチェックすると書いてあるが、料金とか、雰囲気で決めると現場で後悔。特に歳をとるとトイレの共用は遠慮したい。また、音がうるさいとか、清掃が行き届いていないなどはクチコミ情報などをチェック。宿泊場所は大切な旅の要素でもあり、楽しみながら探すことができればこれに越したことはない。デザインホテルも楽しそう。

ちなみに当舎の選択優先基準は、立地(観光拠点又は駅)、価格(1室1万円前後)、トイレ付き(できればバスタブも)。

フリープランでは、価格に合わせて宿泊用件が揃ったホテルが用意されているが、低額商品について旅行代理店はホテルのグレードアップを提案してくる。「旅行価格のホテルは観光拠点から遠隔地の場合があります。立地のいいホテルにグレードアップしませんか」、これにはついグレードアップしてしまうのだが、後でホテルの料金を調べると相当な価格差。旅行代理店は宿泊のグレードアップや空港へのタクシー出迎え手配などで儲けているのがよくわかる。タクシー出迎えは1人当たりの価格設定(そもそも1人当たりが変)。通常、空港で1台利用時の2倍~3倍の価格。空港でタクシー(白タクはだめ)を拾うので充分安心。

 ホテルは旅行シーズンによっては、高級ホテルが低価格で泊まれることもあるので、とても得した気分で宿泊できる。フランス・ベルギー・オランダを11月に旅したときは、全部個人手配だったがベルギーの三ツ星ホテルが1室8000円台だった。

 もう一つ失敗例。宿泊の支払は現地カード払いだが、ベルギーのB&Bでカードの器具が不調だったのか、「後で請求します」「はい、わかったよ」。ということで帰国したらメールで支払先の銀行口座を知らせてきたので、支払手続きをしに銀行に出向いたら送金手数料が何んと5000円!。私の常識欠如。宿泊料が8000円くらいだったので、なんとか安い方法で送金できないか、検討したところ「ゆうちょダイレクト」の口座をつくって送金すると2000円ということで、この手続きに行き着くまでえらい苦労。ただ、「ゆうちょダイレクト」は郵貯口座同士の振込みが月5回まで無料、他銀行への振り込み手数料も低額ということで、当舎のメイン口座もこれを機に変更した、というおまけがついた。(ただでは転ばない)

 支払はカード若しくは現金でも、必ず現地で済ますべし。(ただし、この分野日進月歩でPayPalやPaypayなど訳のわからない電子マネーが横行しているのでもっと簡便な方法があるのかもしれない)

英国チェルトナムのB&B。普通の民家の一室に泊まる感じ。
Innというスタイルで1階は居酒屋、2階が宿泊施設。(英国、チョッピングカムデン)
アムステルダムのユースホステル、縦150%拡大コピー。オランダ人はデカい!
1階の食堂。階高があるので広々としている。
ちょっと狭苦しいがアントワープ大聖堂(ルーベンスのキリスト磔刑図で有名)の隣という絶好の立地。行ってみたら共同トイレ、共同バス、ただし料金は1食付きで一人7千円くらい。安い!
ブリュッセルの三ツ星ホテル、8千円くらい破格料金。朝食代が高いので向かいのコンビニで。

第2話「準備から旅ははじまる」(私たちの旅スタイル:全7話)

必携図書はやはり『地球の歩き方』。あまり古いの買うの注意。

 便利な時代である。インターネットで航空券、列車から宿泊先、施設入場券などいながらにして購入できる。初めての中国の時は、滞在地についてからホテルを探し、次の移動先への切符を買いに行き、場合によっては都市への移動許可を役所に手続きに行かなければならなかった。これだけで1日仕事。このプロセスも旅として楽しめなければ苦痛でしかない。

私の旅の必携図書は『地球の歩き方』。これに『マップル』や『るるぶ』などのグラフ系旅行雑誌を絡ませてリサーチ。加えてインターネット情報を加味して万全と思いきや、トラベルはトラブルの根源語、そうすんなりといかないところが旅の醍醐味というところ。

 航空券は《トラベルコ》というサイトを使っている。格安航空券や海外ツアーなどよりどり見取り。今回のスペイン、イタリアはそれぞれバルセロナ、マドリッド、ローマというメジャーな観光地を巡る8泊10日間だったので、フリープランという航空券と宿泊がセットになっているものを購入した。

 どんな航空券やツアーを選択するかといえば…、

  • 移動時間が短い(出来るだけ直行便) 
  • 価格が安い(リーズナブルといったほうがいいかも)
  • 行動時間が極端な時刻でない(早朝、深夜行動は避けたい)

お金がない若者が、欧州に行くには南回りのアラブ系エアか、ロシアのアエロフロート。でもこの歳になると10時間を越えるエコノミーでのフライトは苦行。直行便志向になる。これに加え、当舎は釧路在住なのでどうしても東京若しくは新千歳への事前移動をともなう。以前、英国に行ったときは新千歳発仁川乗換えのヒースロー着であった。韓国系エアも安くてサービスも悪くないが、連れは韓国の団体客のマナーに閉口してもう乗らないといっている。

今回のスペイン・ローマはローマ経由でアリタリア航空が安くて便利だった。イタリアは2回目だったが、いずれもアリタリア航空で、連れはこの航空会社のサービスポリシーが気に入らず(客を客ともおもわない労働者感覚)、もう乗らないの評価。なかなか難しい。

 スペインにはイベリア航空というナショナルフラッグのエアがあって、直行便も週数回飛んでいるが、マドリッドのみでバルセロナはなし。帯に短し、たすきに長し。

 私は、フィンエアが就航した新千歳とヘルシンキ便に注目。行きたい場所リスト上位のノルウェーのフィヨルドとアイスランド行きには最適だし、ヘルシンキはもっとも近い欧州で片道9時間。あとは価格と目的地への乗り継ぎ便のアクセス。なんとか路線を維持してほしいものだ。北海道民ももっと海外旅行しよう。

年をとって飛行機の長時間フライトで海外旅行を断念するご同輩も多いようだ。ビジネスクラスへのアップデートは私の旅スタイル財政編にはない。一度だけ、ダブルブッキングでビジネスシートにお世話になった。宝くじに当たった感覚。私の友人は日系のキャリアしか使用しないが、エコノミー旅行者にとっては日系エアも届かぬ夢ではあるが、《トラベルコ》の格安航空券上位にはなかなか現れない。いつかエコノミープレミアムには乗ってみたいなぁ。

いつでも、どこでもリュックサック派。だいたい30Lクラスで使い分け。
アリタリア航空にはもう乗らない、とは言いますがイタリアに行くには一番便利
空港でも時間があれば日記と領収書の整理
以前は新千歳直行便があったKLM。今度はフィンエアがヘルシンキと。

わたしたちの旅スタイル第1話「旅のテーマはなんとやら」(海外編 全7話)

コッツウォルズのパブリックフットパス、ルートNo.1を歩く
  1. 旅のテーマはなんとやら

 私の初めての海外旅行は高校時代の部活(写真部)の友人と行った1985年の中国シルクロード約2週間の旅であった。中国で個人旅行が開放された翌年、この旅行には写真家であった友人の撮影済みフィルムと未使用フィルムを旅先で交換するといったミッションもあったが、大変ながらも充実した旅で、海外旅行における心構えとノウハウの多くはこの旅で身につけたようにおもう。

 それから幾年月、多くの旅を経験したが、近年、連れ合いと一緒にクスリ凸凹旅行舎(2015年)を開業してからは、「身体の動くうちに…」を合言葉に二人で年に2回、国内と海外の行きたい処に出向いている。

旅のテーマになっているのは、

  • 素敵なトレッキングルートを歩く:登山路から散策路、フットパス、歴史道路など様々な道を歩くこと。登山に関しては国内の山岳が中心ではあるが、本場のアルプスのトレッキングも夢である。仕事の影響ではあるが、英国湖水地方やコッツウォルズのパブリックフットパスやローマも古代道路アッピア街道など有名どころとともに、いろいろな国の街歩きも大好きで旅先だと1日10kmくらいは歩いている。
  • 西洋絵画を鑑賞:連れと初めて行った欧州がイタリアで、その時のルネサンス絵画体験が基で、絵画鑑賞は旅の大テーマとなった。わが夫婦は通常、連れの趣味に感化されて私も参画し、いつのまにか私がのめりこむパターンが一般的だが、美術も同様。美術館、教会など訪ねながら、ルネサンスから近代絵画までの絵画鑑賞をとおして古代文明からキリスト教社会や西洋の近代化の背景を知ることは奥が深く、まだまだ道は長い。
  • お客さんの目線で訪問地の魅力をさぐる:最近、海外からのお客さんのガイドが増えつつある。同じ目線で観光の問題を考えるには、自分たちが旅行者として海外に出かけることが一番。個人旅行で他国を旅する上での不安や喜びや楽しみを身をもって体感する。ガイドのみならず、我が国や地域の観光振興の課題点もよくわかる。
紀元前312年に着工されたローマから地中海への道、アッピア街道
英国コッツウォルズ、ブロードウェイの牧場を歩くフットパス
最初のイタリアでルネサンスの名画に出会う(フィレンツェ、ウフィツィ美術館)
欧州の美術館はほとんど撮影自由。名画とツーショット。(アムステルダム美術館)
ベルギーの古都ブリュージュの運河観光船。四か国を操り途切れなく笑いをとるガイド
英国湖水地方でネイチャーガイドの半日ツアー。ガイドが自家用車で案内。