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『クスリ凸凹旅日誌』●随想①私の旅スタイル

登山も海外もいつでもどこでもリュックご愛用(スペイン、マドリッド駅)

塩 幸子

●「荷物は背中に」がモットー
 どこに行くにもリュックにしている。どうも荷物を手にすると、右か左に偏りがちになる。
 リュックなら背中で左右対称だ。
 ウォーキング、スーパーへの買い物、便利だ。私の住む美原では遊歩道が周りをとり囲む。この道を歩けば、車が入ってくることはない。安心して歩けるが困りごともある。自転車だ。音無しで超スピードでいきなり追い越されるとドッキリだ。自転車は遊歩道で、我がもの顔で走る。万が一、追突されたらと思うと冷や汗ものだが、それをリュックがカバーしてくれると信じている。

● 旅では荷物は最低限がモットー
 登山以外の旅行の衣類は替え一組と決めている。このスタイルは自分との戦いに負けない意志がカギだ。
 旅の1日は歩き通しに近い形となる。特に海外では神経も使うのでクタクタで宿に入る。
 シャワーの後はまず洗濯だ。部屋には小さな石鹸が必ず付いている。洗濯物の手洗いはお手のもの。脱水は手とタオルだ。手で絞るだけ絞って、仕上げはタオルで挟んで絞る。部屋付きハンガーを使って干し、翌朝ドライヤーで仕上げて終了。疲れた1日の終わりのこの作業は、強い意志が必要となる。干された洗濯物を見て、深い満足感を得て眠りにつく。
 そして何といっても荷物を預けず機内直行が楽だ。リュックはそのために重さ(8キロ)、サイズの制限を守って荷造りする。着陸時もリュックを背に短時間で空港を出られる。ある時、一番の早さで税関のチェック時、荷物検査員に足を止められた。不定期の検査が入ったようだ。何の心配もないがドキドキする。調べ終えた検査員が「少ない荷物で旅慣れていますね」と声を掛けてくれた。ヤッターと思った。

● 旅行計画を楽しむがモットー
 本番前に楽しむ。それは重要なことだと思う。山は主に私、海外旅行は主に連れが計画する。だが役割分担は最小として、できるだけ同じように旅行内容を把握することとしている。
 楽しさと苦しさが入り混じった旅があった。九州旅行。もう25年余り昔のことになるが9泊10日の春の旅だった。今となっては懐かしさに、連れとこの旅の話に及ぶことが多々ある。
 娘は小学生。学校を10日間休んだ。長い休みになるので担任に手紙を書いて、娘に持たせた。
 幾日待っても反応がなく、痺れを切らして連絡を入れた。「勉強のことを考えると勧められません」これが返答だった。
 娘の荷物は教科書で一挙に増えた。〝ええよぉ、それなら〟という私の考えで、宿に入ってからしっかり娘は毎日時間割通りの勉強をこなした。完全に学校の勉強など忘れて、楽しめなかった。私の小心さが今でもひっかかる。
 桜はすでに終了していたが、春の九州はあれもこれもと、一つ一つ笑える思い出を私たちにもたらしてくれた。ただこの旅の計画は連れがたてた。帰宅して旅の順路がうまく思い出せなかった。計画にしっかり参加しなかった反省が残った。
 一つ一つの旅を終え、今のスタイルが出来上がってきている。後はもう体力の出来る限りの持続だと思う。

第7話「トラベルはトラブル」(私たちの旅スタイル全7話)

ローマの地下鉄でスリに会う。混んでいる時は要注意。

 重大なトラブルで旅行自体に影響が及ぶような経験はないが、小さなトラブルはちょくちょく出現。これに焦らず、慌てず、冷静に対処するのが旅の醍醐味。田部井淳子さんと登山した時、緊急時には、「とにかくパニくらないことが一番」とおっしゃていた。この言葉を胸に刻んで、といつもおもってはいるが現実がなかなか。私たちのトラブル事例及び防止策をご参照下さい。

1)2時間前にはスタンバイ

団体旅行の集合時刻は海外ツアーは出発2時間前が一般的なようだが、個人旅行も同じモードが必要。幸いなことにこれまで乗り継ぎ遅れや出発遅延などのトラブルには巻き込まれてこなかったが、今回のローマからの帰国では、空港への鉄道切符を自販機で購入していたら、英語でよく判らないのにアフリカ系の兄さんが近くでいろいろ口を挟む(後で考えるとアドバイスだったかも)ので、エイヤーと購入したら、違うチケットを購入してしまい、結局駅の窓口で払い戻しと再購入手続きで小1時間。どこに落とし穴があるか、わからない。

 当舎は釧路在住なので、新千歳経由で英国に行ったときは、朝(というより深夜)2時に自家用車で自宅出発。4時間ほどで新千歳空港着、8時台の仁川行きに乗り、仁川で乗継。ヒースロー空港着後、マンチェスター行き国内エアに乗継、到着は同日(時差8時間)深夜。この間、ほぼ時間通りに行けたことの方が幸運というべきか。ちなみに、想像をこえていたのは、ヒースロー空港の国際便から国内便の乗換えでターミナルビル移動が別の空港に行くのか、とおもうほどの遠隔地。さらには国内線のセキュリティチェックがえらく厳重。まあ、時間に余裕があったので焦りはなかったが、とにかく移動の時間設定はゆとりが第一である。

 友人の姉妹が出発便の遅延で乗り継ぎ便に遅れたことを妹さんがフェイスブックにアップ。お姉さんの名前はエミさん。『エミ、レイトしました』。この時のエアはエミレイツ航空。緊急時にもこんなユーモアを持ち合わせたい。

列車の切符を間違って買って、あわや乗り遅れ!間一髪

 2)特殊詐欺について

私たちの旅行目的の一つが西洋絵画鑑賞である。数年前からはまったのだが、当舎はだいたい連れの趣味が私に感染して、重篤化するのが常で、登山しかり、自然観察しかり。美術もこのパターンだが最初のイタリア旅行(ベネチア、フィレンツェ、ローマ)でのルネサンス体験と大橋巨泉の美術関連著作が引き金となって、その後の旅行では重要なテーマとなっている。

 美術館や教会などをチェックして見たい作品をリストアップするのだが、これに落とし穴があった。ルーブルやオルセーなどの有名な美術館の名画をふんだんに見まくるぞ、という決意で出向くと、なんと必ずしも全部見れるわけではなく、貸出中や補修のため部屋が閉鎖されていたりと正に出鼻をくじかれ体験。なかには貸出先が東京日本となっているものも、「こちとら東京から来たんだぞ! 」と叫びたい心境。まあ、海外での美術鑑賞では常識的なことのようで、事前の美術館サイトへのリサーチが必要と痛感。

 私がおっかけている作家のひとりがブリューゲル。オランダ出身のブリューゲルの作品を追って、フランス(パリ)、ベルギー、オランダと旅をした。訪問地の美術館に数点の作品が点在しているため、その作品観賞がとりあえず訪問の最大目的。ベルギーのアントワープという古都にマイエル・ヴァン・デン・ベルグ美術館という小さな市立美術館がある。ここに『狂女フリート』という傑作がある。この絵を楽しみにルンルン小走りで訪れたところ、出張不在とのこと。「何にぃい!! 」と受付で叫ぶ(ところiだった)。この美術館のエースで4番が違うチームにレンタル中とは…。やっと気を取り直して、オランダのロッテルダムに移動。ここのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館にはかの有名な『バベルの塔』がある。早足で美術館に入り入館前に確認すると、こちらもベルリンだか、どこだかに出張中。「ざけんなよ! 」と呟くも、もはや戦意喪失。

ボイマンス・ファン・ヘーニンゲン美術館エントランスオブジェに慰められる

 予兆は、ベルギー最初の訪問地であったブリュッセルの王立美術館にあった。ブリューゲルには息子二人や孫、親類にも画家がいてブリューゲル一族ともいえる芸術家の一家なので、いろいろな美術館にブリューゲル(一族のだれかが)の描いた絵が沢山ある。ここにはブリューゲル作品をあつめた部屋があって私は『鳥罠のある風景』という作品がお目当てだったのだが、貸出中。替わりにブリューゲル長男(この人は親父の模写が得意だった)の模写が飾られていた。

 受付や学芸員、ミュージアムショップの店員に「わざわざ(ここ強調)日本から来たのに残念だ」との意向を伝えると、済まなそうに謝るタイプとだからどうしたタイプがいる。おもわず「詐欺だ!」と叫びたい心境だが、現場にいると館職員の人件費や美術館の維持管理費などを稼ぐために美術館も大変なんだと妙に納得。

出張中だったブリューゲル『鳥罠のある風景』
ブリューゲルの長男作『鳥罠のある風景』ちょっと違う。親父のコピーが得意。
教会でカラバッジョの名作とパチリ。入館無料。
出張中だったブリューゲル『狂女フレート』。どこに行った!
マネの名作『フォリー・ベルジェールのバー』と記念写真。日本の展覧会ではこうはいかない。

 美術鑑賞趣味で、かつブリューゲルのおっかけという特殊性もあるが、この手の詐欺(見方を変えれば常識)には気をつけたい。

街角でピカソに会うかも…(バルセロナ)

 以上。楽しい旅を!

第6話「どんな荷物、どんな服装」(私たちの旅スタイル全7話)

11月中旬のベルギーアントワープ駅前で、首巻で何とか寒さを凌ぐ

 私たちは国内外、いつでも、どこでもリュックサック派(だいたい30L程度のサイズ)。登山も海外旅行も似姿はリュック一つ(サブバック付き)で靴はトレッキングシューズか、登山靴といったスタイル。重量も手荷物機内持ち込みなので8kg以内に収める。防寒ウエアは雨具と兼用。下着は予備1セット、必要時は現地購入。『地球の歩き方』のような厚いガイドブックは訪問地以外はカット(植村直己が北極探検時の荷造り参考)。まあ、そんなにシビアな話しではないが軽いにこしたことはない。

 メリットは、入管や関税の手続きが早い、ロストバケッジの心配なし、移動しながら観光が可能(ホテルチェックイン前に美術館へ、ロッカーに荷物預けてOK)。デメリットは、旅行中洗濯をしなければならない、気取ったところにいけない(着替え衣装は1セット)、沢山お土産が買えない。ただし、帰りは別バックにお土産を買って預け荷物にもできるのであまり心配はない。

 バックパッカーといってもいいが、旅先では結構多数派のスタイルである。アジアの団体旅行者はスーツケース派が多いけど、個人旅行者は老若男女バックパッカーが目につく。ゴールデンウィーク10連休明けの今回は、日本人旅行者は目につかなかった。私たちみたいなバックパッカーで多いのは韓国人。これまでも旅先で同年輩の韓国人夫婦と一緒になることが何度かあった。いずれも英語、そして片言の日本語も話し、フレンドリーで洗練された印象。韓国の団体ツアーに閉口気味だった連れも相当イメージチェンジした様子。

 いいことばかりではない。預り荷物がないので関税手続きはほぼ先頭で通過するのだが、たまに暇な税関職員につかまり、リュックの中身をチェックされたりもする。本人はいたって万国共通善人タイプとおもっているが、世間は必ずしもそうは見ていない。

4月中旬の英国湖水地方。バードウォッチングをしながらフットパス散策
4月中旬コッツウォルズのフットパス、歩きながら移動なのでフル装備、荷重8kg
帰りはお土産をバックに入れて、あくまで機内持ち込み可能レベル

第5話「グルメの道は遠く」(私たちの旅スタイル全7話)

グルメの敷居が低い港町バルセロナ、ピンチョスでリーズナブルな夕餉。

 当舎の旅先の食事パターンは、10日間の旅行期間であれば、朝食はほとんどホテル付き、昼食は街中でカフェやテイクアウトでランチ。夜はそれぞれの街で1度はレストラン(ビストロレベル)、これに地元のスーパーで買出ししてホテルで食事というパターンが加わる。特にスーパーはお土産もの購入にも最適。今回ローマでの宿泊は駅近。駅構内のスーパーを利用。バルセロナは歩いて2分で市場だったので、不足する野菜、果物も購入。

 さて、旨いものを食べたい、特に安くて旨くて感じがいいレストランに出会うのは至難の技。ここでもネットで調べるのは《トップアドバイザー》のレストランガイド。価格、クチコミ、場所そしてメールでの予約可能なレストランもあるので、日本にいる間に予約も可能。フランスは美食の国なのでパリ到着の夜はばっちりグルメを堪能しようということで、宿の近くのビストロを予約して行ったが、ネットの評判ほどでなく、イマイチ。まあ、こんなことは日常茶飯事。

 イタリアで一番記憶に残った店はフィレンツェで飛び込みで入ったランチのレストラン。ホテルの従業員に聞くのもいいけど、いつも良い店とは限らない。

そんななかで、バルセロナはグルメに遭遇する敷居が低い街であった。バル(スペイン風カフェレストラン)ではタパスという小皿料理やピンチョスというバスク地方のパン片に様々な食材をのせ楊枝でマークした一口つまみがカウンターからチョイスする方式が多く、好きなものを目で確認し、楊枝のや皿の数で清算するのでとても楽に美味しいものにありつける。

 もちろん良い店悪い店もあるんだろうけど、バルセロナのフェルラン通りにある「Orioオリオ」はこの三拍子が揃ったお店だった。宿泊したホテルの近隣のサン・ジョゼッペ市場というバスセロナ最大の市場では、さながら和商市場の3倍くらいの店舗に海鮮、肉、野菜果物、乾物等々の販売とカウンターレストランが随所に配置され、ここでも昼食、夕食、買い物を堪能した。おそらく今までの旅行のなかで、グルメ遭遇率No.1がバルセロナである。スイーツも濃厚なホットチョコレートにピンチョスという油棒菓子をつけて食べる安くて旨い名店があって、我を忘れる。

私の持病は糖尿病。よって、団体ツアーやクルーズ旅行などの三食旨いもの完備は禁断の園。1日10km(今回の平均歩行距離)ほど歩き回り、やっと食事にありつけるくらいが健康には最適。特に「身体の動く間は」この旅スタイルがいい。

旅先ではほぼ何でも食べるし、偏食でもないので食事の心配はない。しかし、帰国直後は無性に蕎麦が食べたくなる。それも駅の立ち食いソバのようなチープなのが理想。成田空港の帰国ゲートフロアにも立ち食いソバ店を!

英国の朝食は最高!たっぷり食べて、しっかり歩こう!(湖水地方)
美食のパリでビストロでランチ、ちょっと豪華
名物料理もチェック。ベルギーのシチュー、ワーテルゾーイ。(ゲント)
スーパーで夕食購入も楽しいグルメタイム(アムステルダム)
港町育ちの私には市場飯は最高!(バルセロナ、サン・ジョゼップ市場)
機内食も楽しみ。さすがフランス、ワインが付きます(エールフランス)

第4話「現地で右往左往もまた良し」(私たちの旅スタイル全7話)

有名なパリミュージアムパス、これでほとんどの美術館を巡れる。空港で購入した。

 旅行の参考図書は『アマゾン』の中古図書で購入。4~5年前の古書だと1円+郵送料の世界。しかし、要注意。今回、これに足元を掬われた。バスセロナのガウディ世界遺産であるグエル公園は現在、事前予約でなければ入場できないシステムになっている。古い雑誌にはそんな記述はなかったので、現地購入とおもっていたら、出来ないことが判明。現地の旅行案内所にも聞いたのだが扉開かず。

今回、購入したてのスマホを宿屋のフリーWi-fiに接続し、ネット購入をこころみたところ、何とか手続きが進み、あとは支払手続きとなったところで、カードのWebサービスのID番号とパスワードの問い合わせ。高齢者には恐怖のID&パスワード。ここで断念。ついに予約とれずグエル公園とは縁がなかったことになった。

教訓は3つ。

  • クレジットカードはpinコード(4桁のやつ)はもとより、WebサービスのID番号とパスワードを忘れずに。(カードは最低2枚、キャリア会社の違うもの)
  • 事前予約がないと入れないところがある。(今回はグエル教会、ボルケーゼ美術館(伊))
  • グエル公園には奥の手があって、開場時間(確か8時~18時)以外は開放されていて、私たちも最終日、早朝に行くことにしたがあいにく雨天で取りやめにした。(最後まであきらめずトライ)。

ネットで事前手配するのに越したことはないのだけど、現地でしか予約又は購入できないものもある。

現地の移動手段である公共交通(地下鉄、バス、トラム等)は回数券(10回がおおいような)や1日単位の乗り放題券、さらには美術館や観光施設ともセットになったパス(バルセロナカード、アムステルダムカードなど)がある。今回はバルセロナ、マドリッドが10回回数券、ローマは3日通し券。

最初に購入するときだけ頑張ればあとは楽である。ヒューマンウォッチングや現地の人との触れ合いを楽しむには公共交通はおもしろい。スマホで目的地を探すのもいいのかもしれないが、スリの格好の餌食になるかも。私はローマの地下鉄でスリ2人組みに狙われたが、スリがどんな雰囲気で行動するかよく観察できた。ローマの地下鉄ではスリに遭遇する確率が高い。スマホよりスリをチェックせよ。

今回バルセロナではフラメンコ観劇のチケットを現地の観光案内所で当日予約購入(その場で支払)した。ちょっと英語力は必要だが、目的が明確なので、身振り手振りでも何とかなる。『ロス・タラントス』という老舗タブラオ(ライブの専用劇場)で、若手の30分位のショーが評判で料金も安くて手頃。これが凄かった。感激した! 現地で楽しめる事を観光案内所でチェックするのもお勧めの一手。

2度目のローマは3日パスでバス利用。車内の改札機で刻印しなければなりません。
待てども時間通りにこないバス。当てにならない時刻表。
メトロやトラムがセットになったパスが一般的。街歩きの必需品。
地下鉄でのヒューマンウォッチングも旅の楽しみ
オランダ全土をカバーする美術館カード。優れもの。