凸凹旅行舎ガイド研修記③ 釧路の観光まちづくりを旅をしながら考える

渋谷のマチを登山スタイルで闊歩。娘にリュックを背負ってもらいました。
渋谷のマチを登山スタイルで闊歩。娘にリュックを背負ってもらいました。

当舎の研修はフィールドワーク(自然やまちなみ)と資料館や美術展等関連文化施設の視察がセット。類比的に視察箇所や鑑賞箇所を決めている。今回は黒部渓谷、木曽路散策後、東京で2つの展覧会を鑑賞。ここ数年、阿寒の観光まちづくりを個人的なテーマにし、特に温故知新のモチーフとして松浦武四郎の古道トレッキングや前田一歩園の歴史を掘り起こしている。

シーボルトコレクションの日本里帰り展。彼の日本博物館構想にそった展示スタイルとのこと。
シーボルトコレクションの日本里帰り展。彼の日本博物館構想にそった展示スタイルとのこと。

今回の一つ目は江戸東京博物館の『よみがえれ!シーボルトの日本博物館』展で、武四郎から遡って、間宮林蔵そしてシーボルトに行き着いた。この歴史を縦軸とすると、横軸は吉村昭の著作で、『間宮林蔵』『生麦事件』『ふぉん・しいほると(シーボルト)の娘』と読み進んで、これに『高熱隧道』も加わり、今回はさながら吉村文学の旅。さて、外国人の目線で日本を紹介するため生活文化自然芸術等々の蒐集品を欧州に持ち帰ったシーボルトが日本文化をつたえる博物館構想をもっていたのを再現したのがこの展示会であった。シーボルトが構想未完のまま没した1866年から12年後の1878年に、逆に日本人の目線で欧州に日本文化を発信したパリ万博の日本館の中心人物が前田一歩園創設者の前田正名である。欧州はジャポニズムのブーム真っ只中で、その源流部にシーボルト、本流に前田正名の存在があった。

渋谷BUNKAMURAピーターラビット展にはさすが若い親子からお年寄りまでわんさか集合
渋谷BUNKAMURAピーターラビット展にはさすが若い親子からお年寄りまでわんさか集合

二つ目はビアトリクス・ポター生誕150周年『ピーターラビット展』(渋谷BUNKAMURAミュージアム)である。英国湖水地方=V・ポター=ナショナルトラストは、阿寒の森=前田光子=一歩園財団と私のなかでは対で、自然と人の共生と観光文化の結びつきを類推しながら考えることがおおい。阿寒にはアイヌという先住民文化とともに、自然と人の共生文化のキープレイヤーとして前田一歩園の活動が阿寒における地域と自然の持続可能性に寄与している。阿寒の観光文化を次代につなげるために、より深く地域の物語を世界に発信する場が必要だとおもう。絶景や自然美の背後にある物語は観光により深い感動をもたらすものとなる。ポター関連の観光施設が点在する湖水地方、阿寒にも前田一歩園関連の観光文化施設があってしかるべき。あたらめて阿寒の可能性を想像しながら、二つの展覧会を鑑賞した。

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うだつの追っかけで、函館、川越、そして岐阜県美濃市に。
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