「花鳥風水」カテゴリーアーカイブ

コクガンとアッケシソウに会えた秋の野付半島

かつてのトドワラの風景はありませんが、やはり不思議な魅力の景観です

野付半島は東北海道に位置し、根室海峡に突き出た釣り針のような形をした砂嘴です。野鳥や野草の楽園とも言える処で、最近は冬場の水平線で写真を撮るイベントがヒットしているようで、新たな観光の魅力も発掘されています。
10月27日に「オンネニクルの森を歩こう」というイベント(主催 別海町郷土資料館)に友人からお声かけをいただき、普段歩けない処に入れるとのことで参加してきました。
イベントはアイヌや擦文期などの先人たちの遺跡を見たり、海岸線や森のなかを歩きながら野鳥や景観を楽しむものでしたが、あらためて野付の魅力にふれる1日でした。ガイドを辞めたら1シーズンくらい、空き家を借りて野付に住みたいとおもいました。

オジロワシがお出迎え
足元にはアマモとミズナラの落ち葉


野鳥はガンカモの渡りの時期で、お目当てのコクガン達にも出会えました。カムチャッカ半島を経由してやってくるのですが繁殖地は北極海沿岸なので相当な長旅です。渡りの道程はGPSによる調査がおこなわれているようで、いずれはっきりする時がくるのかもしれませんが、まだ謎の多い鳥です。英名のBrent Gooseのブレンドはネスカフェ・マイルドブレンドのブレンドなので何かと混じっているんでしょうか? 首筋のレース模様がなんともいえなえず、この鳥のエレガントさを表しています。今回、海岸線を散策しているとアマモ(ほとんどの淡水系の水鳥にとっての食糧)がわんさか打ち上げられていました。ガンカモを見ると海岸線から近い順に、コガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、コクガン、オオハクチョウと沖に向かって配置されています。つまり、首の短い順ですね。砂地に根を張り、光合成して生長するアマモの生育にとって野付の内海は最適の環境なのでしょう。
半島の基部から先端に向かって車を走らせていくと、右手(湾内側)に淡水のガンカモたち、左手(海側)に海鳥やカモメたちが飛び交い、前を見るのを忘れます。ガン・カモより早い時期に渡るシギ・チドリたちは春はGW、秋は8月中旬頃がベストシーズンだそうです。

首筋の白いレース模様がコクガンのチャームポイント
手前岸側から順に首の短い鳥が配置されてます


この時期、野草はまったく期待していなかったのですが、なんと!アッケシソウが迎えてくれました。その名のとおり厚岸のカキ島で発見命名されたのですが、現在は能取湖の群生が有名になりました。これは増殖事業をしているためで、自然環境の状態で見れるのは野付半島です、とガイドさんが言ってました。紅色に紅葉する部位が何なのか、知らないもの同士で、やれ花、いや茎、葉っぱじゃないのと盛り上がっていましたが、正解は茎及び枝の部分だそうです。標高0m前後(つまり海岸ぎりぎり)の塩湿地に繁茂する1年草とのこと。何かしら親近感のわくアッケシソウでした。

これがアッケシソウ!食べることも出来るんだそうです
手前はアマモ。甘い藻が由来のようで茎が甘いとのこと。食べてみましたが微妙。


野鳥野草ファンの方は先刻ご承知かもしれませんが、駆け出しファンの方やバードウォッチングやってみようかなぁ、と思っている方は是非、野付半島をお忘れなく。

ここはまさしくラムサールサイトの代表選手

グリーンシーズンのタンチョウ

お客さんから「夏にタンチョウが見れると思わなかった」との声をよく聞くので、グリーンシーズンのタンチョウをご紹介します。北海道は通常、11月から4月までの6ケ月はいつ雪が降ってもおかしくないので、冬が半年あることになります。
残りの半年がグリーンシーズンで春(5,6月)夏(7,8月)秋(9、10月)という感じでしょうか。
タンチョウは人工給餌の期間(12月から3月位)は給餌場に百羽以上集まりますし、川をねぐらにし、集団生活を営みます。グリーンシーズンは番(つがい)を核にテリトリーを湿原に形成し、子育てに励みますが、まだペアをつくらない若鳥たちは数羽のグループで生活することになります。
確かに冬よりグリーンシーズンの方がタンチョウを見る確率は下がりますが、そこはガイドの腕の見せ所で、それになりの場所にご案内することになります。夏は道路際の牧草地でもタンチョウがいることがあります。車の運転に気をつけて、是非、グリーンシーズンのタンチョウをあなたもお探しください。

4月中旬、湿原で抱卵中のタンチョウには細心の注意が必要です
タンチョウ再発見の地、キラコタン岬のつがい。今年は幼鳥が見えません
若鳥たちはグループで生活します。まだ鶏冠の赤色が目立ちません
8月をむかえると若鳥に飛び方を教える親子の姿をみることがあります

湿原の小さな仲間たち

世界最小クラスの樹木ツルコケモモ

「見つけた!」とおもったら、あっという間になくなってしまう。そんな湿原を代表する花、3つ。ツルコケモモ(ピンク、世界最小クラスの樹木)、タヌキモ(黄色、食虫植物で袋にプランクトン)、トキソウ(鴇色、ちょっと大振りな花)。 短い夏を精一杯生きる、タヌキモ以外は高層湿原(ミズゴケ)に生息します。じっくり目を凝らして小さな命を見つけてください。

ユーラシアに広く分布し実はジャムに英名はグランベリー
トキソウ。野鳥の鴇(トキ)の色がイメージなんでしょうか
水生植物のタヌキモもネットのような葉からすっと伸びた茎に可憐な花
タヌキモは食虫植物で補虫袋にプランクトンを取り込み栄養にします
こちらは同じく食虫植物のモウセンゴケ

極上の別寒辺牛川カヌーを堪能

静かな川面を約2時間のリバーツアー

静謐な川面に響き渡る野鳥のさえずり。珍客に驚き慌てる水鳥たちの振る舞い。熱いコーヒーと地元スイーツ、そしてガイドの奏でるギターの調べ。花咲線の橋脚ではアカハラの産卵という野生のドラマ。極上の別寒辺牛カヌーを堪能。

春の訪れ

斜面を飾るエゾエンゴサクとバイケイソウ

春採湖湖畔を散歩。エゾエンゴサク、キバナノアマナなど春の草花が咲き始めて、夏鳥第一便のノビタキ、オオジュリン、カワラヒワたちがさえずっていました。 湖水には渡るのをやめたのか、カワアイサが寂しげに数羽。散歩道にそった臨港鉄道の鉄路も寂しげでした。